IPRなどのPTABにおける再審査の時期によっては、ITCによるExclusion orderが回避できるかも知れません。
ITCは一度始まるとIPRなどの無効手続きが並行して行われていても止まることは原則ありませんが、その結果とタイミング次第ではITCに対する有効な対策手段になります。
19 U.S.C. § 1337(b)(1)において、ITCによる調査と決定は速やかに行うように定められています。ITCによる決定では、賠償金の支払いを命令できないので、そのような理由からPTABで再審査が行われていても調査を一時停止するようなことは原則ありませんでした。
しかし、PTABにおける手続きがITCによる輸入禁止命令の前に終了することもあり、PTABにおいて一部のクレームが無効になった場合、輸入禁止命令が一時中断されることもあります。
最近の例では、Certain Magnetic Tape Cartridges and Components Thereof, Inv. No. 337-TA-1058, Comm’n Notice (Mar. 25, 2019)があります。この案件では、ITC調査の結果、ALJの仮決定(initial determination)では侵害が認められましたが、Commissionのレビュー(final determination)が終わる前に、PTABにおいてクレームの一部が無効になりました。
このPTABにおける結果を考慮し、ITCのCommissionはPTABの結果に対する最終判断(CAFCへの上訴)が完了するまで、無効になったクレームに関する輸入禁止命令を保留しました。
まとめ
ITCとPTABにおけるIPRが平行して行われている場合、ITCにおける調査が一時中断することは原則ありえません。しかし、ITCにおける手続きが完了する前に、権利行使されているクレームが無効になれば、ITCはそのPTABにおける結果を考慮して最終的な判断を下す傾向にあります。
そのため、ITC訴訟に巻き込まれたとしても、IPRなどで迅速に特許を無効にできれば、ITC対策の有効な方法の1つになります。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Scott A. McKeownーRopes & Gray LLP (元記事を見る)