以前、東芝がIPRの費用を電信送金で支払った際に、USPTOへの入金が期限いないに行われなかったため、IPRが却下されたという記事を書きましたが、今回、指定銀行が受領した時点で有効と判断されたため、前回のパネルの判決を破棄しました。
Precedential Opinion Panel (POP) の判決:Toshiba America Electronic Components, Inc. v. Monument Peak Ventures, LLC
先のパネル判決では、手数料の支払いは期限を過ぎている(したがって、申立ては不完全である)という理由で、§315(b)の1年バーの下でIPR開始(institution)が拒否されました。パネルは、申立人が適時に申立書を提出し、USPTOの指示に従って手数料をUSPTOの指定銀行であるTreasury NYCに送金し、るTreasuryがタイムバーの満了前に実際に費用を受け取り、同日USPTOに通知したとしても、USPTOは1年のバーの満了後まで支払いを受けなかったと結論づけました。
しかし、POPは、Treasuryが支払いを確認したことは適時支払いの十分な証拠になるとし、パネルの決定を取り消した。以下が実際のPOPの判決文に書かれた内容です。
”したがって、記録された証拠によれば、2020年12月16日、申立人は、Fedwireを通じて支払いを送るための公表されたUSPTOの指示に従い、手数料の全額を、USPTOが当該支払いのための「受取人」として特に指定する銀行であるTreasury NYCに正常に振り込んだことが証明される。…Fedwireの確認に基づき、我々は、請願者が指示通りに手数料を支払うために全力を尽くし、手数料の送金に成功したことを理解しています。」
この判決で当事者である東芝は救われましたが、前回の記事でも書きましたが、そもそも費用を支払う際に、電信送金(wire transfer)を使わず、USPTOの預金口座(deposit account)を利用するなど、即時に支払いが確認できる支払い方法を利用することをお勧めします。
そして、何よりも期限が迫っているものは、余裕をもって、早めに手続きを行うことをおすすめします。
参考文献:PTAB Finds Wire Payment Effective When Received by Treasury