自動校正ツールの特許明細書への活用

今は一般的な英語文章作成サポートソフトから特許に特化した自動Proofreadingツールまで様々な自動校正ツールがあります。それらを(信用しすぎないで)うまく活用できると日々の作業効率が上がるのではないでしょうか?解説では私が実際に使っているツールも紹介しています。

特許の品質と作業性を維持するためには、特許の校正が非常に重要です。誤りは、事務的なもの、文法的なもの、クレームの番号付け(他にも様々な形態がありますが)など、表紙、明細書、クレーム、図面など、特許のあらゆる部分に潜んでいる可能性があります。USPTOは印刷前に最終特許のコピーを提供しないため、誤りは訂正証明書で訂正しなければなりません。

特許出願の校正は、専門家が手作業で行います。この作業では、出願人が見落とした誤りやUSPTOが印刷した特許に誤りがないかどうかを検査します。専門家は一般的に小さなミスを見つけることができますが、この作業は繰り返し行われるため、ミスを見逃したり、うっかりミスが入ってしまったりすることも少なくありません。市場での競争が激化する中で、専門家はコスト削減のプレッシャーを感じており、100%の正確な出願を確実にするために、より懸命に、より迅速に作業しなければなりません。そこで便利なのが自動化ツールです。

自動化された校正ツールは、以下のことが可能です。

  • 納品された作業の品質を保証します – 結果は非常に正確で、あらゆるタイプのエラーを検出します。
  • 時間を節約することができ、これを利用して出願人と特定のポイントについて話し合うことができます。

自動化されたツールを使用して校正を行うことができます。

  • 要約
  • クレーム
  • 明細書
  • 比較
  • 参考文献のリスト

また、一般的なスペルチェックと文法チェックも行います。

校正の自動化には、以下のツールを使用できます。

  • Acrobat Adobe
  • MS Word
  • Abbyy Fine Reader

手作業で完了させなければならない作業には、以下のような項目が含まれています:

  • フェイスページ(すなわち、タイトル、出願人、出願人、発明者、譲受人、出願番号、出願日、公開番号、公開日、引用文献、協同特許分類、米国分類、審査官、弁護士、代理人および/または会社)
  • 図面および図面タグ
  • 式または特殊文字(例:$、%、^、#、α、β、γ、&)
  • カンマ、フルストップ、セミコロン、コロンなどの文字
  • antecedent のエラー(これは一般的に弁護士のチェックが必要)
  • クレームの一貫性
  • クレーム番号に変更があったクレーム

市場には、手作業による校正作業を引き継いだと主張するツールがいくつか出回っていますが、その品質をチェックする必要があります。

自動ソフトウェアツールはコストと時間を節約できるため、専門家はより本質的な作業に集中することができます。

解説

日本人にとって英語を「完璧」にマスターするのは難しいので、英語の明細書をチェックするのが苦手という人も多いのではないでしょうか?

私もアメリカに長くいますが、それでのネイティブではないので、語彙力も文法も足りないと思うことも多々あります。でも、アメリカ人でも間違えることはあるし、実際の特許をよく見ると、どんなによく書かれていると見える特許でも間違えの1つや2つは見つかるものです。

でも、間違えだらけだと流石にダメなので、自動校正ツールを使いつつ(それに頼りすぎないようにしながら)自分のできることをすることが大切だと思います。

例えば、私はGrammarlyというツールを使ってます。これは特許に特化したツールというわけではなく、英語の文章を書くときに手助けしてくれるツールと言った感じのものです。無料版ではスペリング、文法、句読点などをチェックしてくれて、有料版だとより内容を考慮した提案もしてくれます。(私は有料版ユーザーで、ここ2年ぐらい使ってます。)英語でメールを書くときにも、明細書を書くときにも使えるので、非常に重宝しています。

特許に特化したツールをググってみたのですが、結構ありました。Patent Botsが提供しているPatent Proofreadingや、ClaimMasterが提供しているサービスinsPATなどちょっと検索しただけでも多くのツールがヒットしました。気軽に始められる価格帯のものもあるので、試験的に使ってみるのもいいかもしれません。

あと、チェッカーさんが入るフルサービスのProofreadingもあります。

個人的には、文法など反復が多くソフトウェアの方が検出しやすいミスの特定には自動校正ツールを使いつつ、それ以外の人が介入してチェックしないといけない部分はちゃんと人がチェックする、そして、あまり使っているツールを信用しすぎないということが大切なんじゃないかと思います。

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まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Deepak Bhandari, Effectual Knowledge Services Pvt Ltd(元記事を見る

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