スタートアップのための特許ポートフォリオ開発

特許戦略は必ず時も複雑であったり時間がかかるものであったりするものではありません。優秀な知財サポートチームがいれば、1回の会議の後、行動計画を立てることもできます。このように素早く戦略を立てられれば、スタートアップはコアミッションから注意をそらすことなく、効率的な特許戦略を導入することができます。

特許戦略の導入

特許ポートフォリオを作る上での最初の一歩として、まずは特許になりえる発明の特定とランキングを行います。そうすることで、高ランクの発明を優先的に特許出願することができます。アメリカでは、発明が公開されたり使われたりしてから1年経過してしまうと、発明を特許化できないので、ここでの作業はまだ公開されていないものであったり、最近公開されたものに限定されます。また、既存のシステムの改善点などの段階的な発明も考慮するべきです。

特許出願をするのであれば、その情報は公開されるので、ランキングの対象になる発明は公開してもいい発明になります。

このような特許の特徴を理解した上で特許になり得る発明を特定したら、次はランキングです。順位は様々な方法でつけられますが、ここでは以下のようなメトリックスを参考にします。

  • Usefulness- Would the company be hurt if another company patented the same or similar technology?
  • Commercial- Value How valuable is the invention to others?
  • Likelihood of Infringement- How likely is it that others will use the invention?
  • Detectability of Infringement- How difficult would it be to detect if others are using the invention?
  • Longevity- Will the invention provide a competitive advantage in the next three to seven years?

ポートフォリオを作るためのポイント

  • 特許化を推し進めるための責任者を特定する。このような責任者は、会社と提携している特許事務所の橋渡しを担います。この仕事には、会社の戦略をよく理解していて、社内のキーとなる技術開発者を特定でき、特許事務所の担当者と対話できる経験や知識を持っている人が適役です。
  • スタートアップに特化した特許事務所の担当者と会い、特許のビジネスゴール、戦略、予算を決める。上の責任者が中心となって、会社のカギを握る技術に関連する特許をどう取得していくかを計画します。予算と時間の両面を考慮して理想的なロードマップを作成します。
  • 特許化できるアイデアの特定。責任者が中心となって発明を特定し、積極的に上に示したメトリックスに応じてランキングをしていきます。
  • それぞれの発明において発明者のリーダーを特定して、特許事務所の担当者とのコミュニケーションを充実させる。実際に担当者と発明者のリーダーが会って話せればベスト。

まとめ

スタートアップにとって特許は後回しにされやすいものです。しかし、スタートアップをよく理解している特許事務所とパートナーシップを組めば、比較的短時間で効率よく特許ポートフォリオ開発の戦略が立てることができます。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Brian M. Hoffman. Fenwick & West LLP (元記事を見る

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

商標
野口 剛史

非難されているSMART著作権法案の問題点

現在、次世代の著作権法の法案としてSMART Copyright Actが議論されていますが、業界関係者から「インターネットの未来にとって危険」と非難されています。その理由の1つとして、ユーザーによって作られたコンテンツをサイトにアップする際のフィルターに関する記述が問題になっているのですが、なぜその点が大きな問題になっているのかを解説します。

Read More »
特許出願
野口 剛史

USPTO、COVID-19パンデミックへの対応でさらに期限を延長

先日の発表に続き、米国特許商標庁は4月28日、コロナウイルス救済・救済・経済安全保障法に基づく暫定的な権限に基づき、COVID-19の発生により現在の期限に間に合わない場合のために、特定の特許・商標関連書類の提出期限と必要な手数料の支払い期限を2020年6月1日まで延長したことを示す新たな告知を発表しました。

Read More »
Uncategorized
野口 剛史

業界に特化した尖った特許事務所

知財業界では今後より二極化していくと考えています。1つは低価格化。これは以前も紹介した出願費用を抑え「数」を稼ぎたい企業向けのサービス。もう1つは、特定の業界に特化した専門性の高いサービスです。

Read More »