特許の譲渡:困難な時代の困難な判断

特許の譲渡手続きは重要です。特にアメリカでは、譲渡書がない場合、原則特許は発明者のものと解釈されるので、有効な譲渡書を特許庁に提出することは大切です。しかし、新型コロナウイルスの影響で譲渡手続きを見直さないといけないかもしれません。

譲渡は、発明の所有権を保護し、特許出願の審査申請を行う権利と特許の行使権を提供するために重要であり、必要です。しかし、発明と特許権の譲渡には多くの問題が生じ、COVID-19の社会的距離の確保が求められる時代にはさらに多くの問題が生じる可能性があります。

発生しうる問題は数多く、国によって、あるいは州によっても異なる場合があります。

  • 譲渡の要件は国によって異なる場合がある。
  • 大多数の国では、譲渡は書面であることを要求していますが、その形式は、例えば、個別の譲渡契約、雇用契約の条項、優先権を譲渡する個別の条項など、様々。
  • 譲渡時に発明者であるかどうかを判断することは、すべての権利が適切に譲渡されていることを確認するために重要。
  • 発明者の継続的な雇用以上の支払いが譲渡に必要かどうか、また、その支払いの形式や確認は異なる場合がある。
  • 誰が譲受人となるべきかの決定は重要(例えば、企業グループ内のどの会社が特許権を受けるべきかの決定は、侵害に対する損害賠償の種類に影響を与える可能性がある)。
  • 譲渡を行うために必要な契約書の文言は、国によって異なる場合がある。
  • 特許譲渡に必要な署名は国によって異なる。
  • COVID-19の時代には、発明者に譲渡を電子的に署名させることが可能かどうかは国によって異なるかもしれません。
  • 電子署名の要件は法域によって異なる可能性がある。
  • 譲渡の公証が要求されるかどうかは国によって異なるかもしれない。
  • 譲渡の実行のタイミングは、先に出願された出願の優先権を主張する能力に影響を与える可能性がある。
  • 仮出願と非仮出願に別個の譲渡が必要かどうか。
  • 登録/記録の要件は国によって異なる場合がある。
  • 譲渡の法的効力が登録/記録に依存するかどうかは国によって異なる。
  • 権利の譲渡に政府の承認が必要かどうか。
  • 課題のミスを修正するためのプロセスが存在するかどうか(これは認識しているよりも頻繁に起こる)。

これらは、従業員の発明の譲渡を検討する際に発生する可能性のある問題のほんの一部ですが、他にも多くの問題があります。

解説

いままでは発明者に直接サインしてもらうことも比較的簡単でしたが、リモートワークになりそれが難しくなりましたね。そのため、発明の譲渡に関する手続きも再度見直す必要があるかも知れません。

記事では、アメリカに特化した内容には言及していませんが、アメリカにおける権利化に取って、発明の譲渡は重要な項目です。

まず、米国では、発明者は特許または特許出願の所有者であると推定されるので、譲渡書がない(または適切でない)と発明者が特許の所有者となってしまいます。そのため、雇用契約で業務に関する知財の自動的な譲渡を明記していたり、知財の譲渡の義務を明記しているところもあります。このような契約における縛りは、転職が多いアメリカでは重要になってきます。

そして、明確な個別の譲渡書の作成と適切な執行も重要です。個別の譲渡書は以下の要素がそろっていることが望ましいです。

  • 書面であること – 他の契約とは異なり、特許権を譲渡するための口頭での譲渡や口頭での合意は、ほとんど強制力を持ちません。
  • すべての当事者を明確に特定すること – 譲受人と譲受人の氏名、住所、関係を明記する。
  • 財産を明確に特定する – 特許または特許出願番号、タイトル、発明者、出願日を明記する。
  • 対価の交換を明記する – これはほとんどの契約の標準であり、ここでは、わずかな対価(例:1ドル)でも十分です。
  • 公正証書にする – 公正証書は署名が有効であることの疎明の証拠となりますが、公正証書にすることができない場合は、署名は2人の証人によって証明されなければなりません。

この最後の公正証書(notarization )は結構大変で、アメリカ国外だと難しいので、証人を用いることが多いと思います。また、アメリカ国内でも公正証書(notarization )は実際に公正人にあって手続きを行うのが一般的なので、新型コロナウイルスが公正証書を難しくしています。最近はリモートでも公正証書ができるようになったらしいですが、電子署名を活用して、実際に会って公正証書ができるようになるまで待つという対策を取っているところもあるようです。

参考文献のリンクを貼っておくので、興味がありましたら詳しく調べてみてください。

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まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Frank J. West. Oblon(元記事を見る

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