裁判地の選択に関わる条項はITCでは行使しないほうがいい

通常の契約では、契約に関わる法律的な問題が発生した場合の裁判地(Forum)を事前に決めておく場合があります。これは、 forum selection clause (裁判地の選択に関わる条項)とよばれ、例えば、知財のライセンス契約などによく見かけるものです。 Forum selection clause は、法律的な問題が起こったときに、当事者同士がお互いに都合のいい裁判地で訴訟を起こし、後になって手続きの面で対立することを防ぐ目的があります。しかし、今回注目する判決では、ITC調査において、そのような契約上の裁判地の選択に関わる条項は適用されない場合があることを示しました。

背景

今回注目するITC調査は、Certain Color Intraoral Scanners and Related Hardware and Software, Inv. No. 337-TA-1091, Order No. 23 (May 18, 2018)です。申立人のAlign Technology, Inc. (“Align”)と被告人のRespondents, 3Shape A/S, 3Shape Inc., and 3Shape Trios A/S(”3Shape”)の間には契約があり、契約に関わる法的な問題はデンマークの裁判所で審議するという裁判地の選択に関わる条項がありました。

この契約はITC調査が開始された時も有効だったため、被告人の3Shapeは、裁判地の選択に関わる条項を行使し、ITCではなく、デンマークの裁判所で問題を審議するようITCにsummary determination(地裁におけるsummary judgementのようなもの)を求めました。

行政法判事のCheney判事は、判決で、19 U.S.C. § 1337(c)19 C.F.R. § 210.21(a)(2)において、ITCは当事者同士の契約等の理由で、ITC調査を終了できる裁量権を持っていると示しました。しかし、今回のケースでは、 公の秩序(public policy)を理由に、ITC337条調査を行うことが、契約を尊重するよりも優先されるとして、調査の継続させました。ITCは国際的な取引を規制し、アメリカ国内産業を不公正な取引方法から守る目的があり、デンマークの裁判所で審議を行った場合この目的が達成されるか、被告人の3Shapeは十分証明しなかったとして、3Shapeの主張を退けました。

しかし、行政法判事のCheney判事は、3ShapeがAlignの契約書違反を地裁で主張することで、裁判地の選択に関わる条項を行使できる可能性を指摘しました。裁判所が違反を認めれば、裁判所がAlignにITC調査を取り下げるよう命令できるとのことでした。

最後に、行政法判事は、議会で仲裁に関わる条項(arbitration clauses)と裁判地の選択に関わる条項( Forum selection clause )は差別化されたため、今回の判決は仲裁に関わる条には適用されないとしました。

教訓

ITCにおいて裁判地の選択に関わる条項を行使する場合、337条調査を契約よりも優先させる 公の秩序(public policy)があることを前提に考える必要があります。裁判地の選択に関わる条項を行使したい場合、ITCではなく、地裁でITC調査をやめさせるよう差止請求(injunction)を求めるのがいいでしょう。また、ITCの管轄に入り得る内容の契約を結ぶ際に、この問題を事前に考慮して契約に反映することをおすすめします。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Joseph Farley and Vishal Khatri. Jones Day (元記事を見る

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野口 剛史

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