特許侵害で懈怠(Laches)は使えなくなった

米国最高裁は、2017 年、SCA Hygiene Products Aktiebolag v. First Quality Baby Products, LLC 事件において、6年間の時効期限 (statute of limitation) がある特許侵害に、損害賠償のディフェンスとして Laches (懈怠)は使えないとした。

Laches (ラッチェス、日本語では「懈怠」(けたい) − 特許権者が被疑侵害を知 りならが、侵害に対して行動をとることを非常に遅らせた場合、損害賠償を得ら れないというコモン・ロー(common law)上の考え方。

事実背景

2003 年、SCA Hygiene Products (SCA)が First Quality Baby Products (First Quality) に特許侵害を示す書面を送ったが、特許訴訟が起こされた 2010 年まで何も SCA から First Quality に連絡はなかった。

この事実を元に First Quality は SCA の懈怠を主張し、SCA は損害賠償を得られないと主張した。

しかし、最高裁はその First Quality の主張を退け、特許権者は特許訴訟を起こしたとき から6年以内の損害賠償を回収できるとした。

この判決により、いくら特許権者が権利行使を遅らせたとしても、訴訟で被告側は懈怠 (laches)を主張できなくなった

ここで注目したいのが、最高裁は著作権(copyright)の判例を特許に応用して判決を下 した点である。特許も著作権もアメリカ憲法の同じ箇所(Article I, Section 8, Clause 8) に由来するものということから、最高裁は特許と著作権の関連性を重要視する傾向にあ る。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者: Jason Schwent and Clayton Zak. Thompson Coburn LLP  (元記事を見る

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