NikeがNFTをめぐりStockXを商標侵害で提訴

2月3日、Nikeはスニーカーの再販マーケットプレイスを展開しているStockXを商標侵害で訴えました。Nikeは、StockXが同社の商標を使用した非代替性トーク(NFT)を承認なしに発行し、高値で販売していると主張しています。

訴状はこちら

無許可のNikeの商標を含むNFTが発売されている

デトロイトに拠点を置くStockXは、スニーカーやハンドバッグなどの転売を手掛けていて、同社の評価額は38億ドルに上ります。このStockXが、Nikeに許可を取らないまま、同社のプラットフォームでNikeのシューズのNFTを販売し始めました。

NFT化されたNikeのシューズが売られている

訴状では、「StockXは、Nikeの認可や承認なしに、Nikeの商標を顕著に使用したNFTを発行し、Nikeの営業権(goodwill)を使用してそれらのNFTを販売し、それらのNFTを、それらの(StockXいわく)『投資可能なデジタル資産』が実際にはNikeによって認可されていないにもかかわらず、そう信じる、またはそう信じる可能性のある無防備な消費者に大きく膨らんだ価格で販売しています」と主張されていて、無許可にもかかわらずNikeのブランド力を使い消費者を「騙して」お金儲けをしているとStockXを強く非難しています。

また、Nikeは「StockXが無許可でVault NFTにNikeの商標を付けることは、消費者を混乱させ、当事者間に誤った関連性を生み出し、メタバースやそれ以上の世界で自身のデジタル商品を識別するためのNikeの有名なマークの能力を危うくし、劣ったデジタル商品との関連性によってナイキの評判に損害を与える可能性がより一層高い」と述べ、Nikeがもっている商標の希釈化(商標希釈化)も法的な問題として指摘しています。

NikeはNFTに多額の投資をしている

今回の訴訟は、Nikeをはじめ、人気を博して主流となったNFTをめぐる訴訟の最新の例です。特に、Nikeは去年の12月、スニーカーなどのデジタル製品を制作し、ブロックチェーン技術を活用する事業者、RTFKTを買収したり、NFT関連の商標を新たに申請するなど、NFT関連事業に関して精力的に活動しており、多額の投資もしています。

Nikeにとって、力を入れているNFT市場でStockXのような行為を行っているところを野放しにしておくわけには行かなかったので、販売されて間もない段階で、訴訟に踏み切ったのでしょう。

StockXのNFTはただの現物と引き換えできる交換券?

実は、StockXが発行しているNFT(Vault NFTと呼ばれている)は、StockXが持っている同じ現物(つまり在庫)に紐付けられ、「StockX施設内の真新しい、気候制御された、安全性の高い保管庫に保管されている」と説明されています。つまり、NFTを「使用」(”redeem”)することで、StockXが持っている在庫を届けてもらうことができるらしいですが、訴状によると現時点ではそのような機能は実装されていないとのことです。

NFT版のJordan 1は$549に対して、現物は$238で取引されている

さらに、NFTがただ現物と引き換えできる、いわゆる「交換券」であれば、StockXで取引されている現物の値段とほぼ同額でNFTが取引されていてもおかしくないのですが、実際の値段を比較すると、現時点(2022/02/10)では、NFTの値段の方がはるかに高い状態になっています。

このような「おかしな」状態になっており、うわさではNikeが今月末にいくつかのバーチャル製品を公式にリリースする予定であると報じられているので、その前になんとかStockXのNFT販売をやめさせたいという思惑なのでしょう。

参考文献:Nike Files Trademark Suit Against StockX Over NFTs

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