最近の非代替性トークン(NFT)の急増により、大量のNFT関連商標がアメリカで出願されています。商標権者の一部はこの新興市場を利用することを計画している一方、他の商標権者は権限のない使用からブランドを保護するために商標を出願しています。しかしながら、米国法では商標権者は商標を商業に使用するか、使用する意図を持っている必要があります。商標出願に使用または意図がない場合は、無効になる可能性があります。また第三者は、商標出願または登録が真正な使用または意図がない場合に、商標出願を異議申し立てることができます。そのため、NFT商標の出願数が増加するにつれ、商標使用または意図に関する異議申し立てが予想されています。
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NFT関連の商標出願の動機は?
ブランド所有者がNFT商標の波に加わる動機には、オフェンシブなものとディフェンシブなものがあります。オフェンシブな動機としては、NFTを合法的なビジネスチャンスと捉え、それを活用するための具体的な計画を立てていることが考えられます。また、ブランド・オーナーは、不誠実な第三者が無断でブランドを使用したり登録したりすることを防ぐことに関心があるかもしれません。しかし、その商標出願の所有者は、実際にその商標をそのアイテムに使用しているのか、あるいはそうする善意の意図を持っているのか?そうでない場合、商標出願は紙に書かれただけの価値がないものである可能性があります。
NFTの活用またはその意思が必須
米国商標出願の際には、(a)記載された商品・サービスに対して既に米国内で商標を使用しているか、(b)当該商品・サービスに対して商標を使用する善意の意思を有していなければなりません。使用または使用の意図がない場合、出願は無効となります。15 U.S.C. § 1051; Swiss Grill Ltd. v. Wolf Steel Ltd., 115 USPQ2d 2001, 2008-09 (TTAB 2015)
第三者は、使用の欠如または善意の意図の欠如を理由に商標出願または登録に異議を唱えることができます。このような異議申し立てにおいて、商標審判委員会は、使用の客観的な証拠、または対象となる製品またはサービスに商標を使用する確固たる実証的な意図を確認します。TTABの判例では、商標を使用する計画の証拠書類を要求するものもあります(つまり、頭の中で考えているだけのアイデアは有効な証拠にはなりえません)。そのため、純粋に「防御的」な商標出願(使用も使用意図もなく、むしろ第三者による商標登録を阻止する意図のみ)は、米国法では取得することができません。同様に、出願人がいつか記載された製品やサービスを提供することを想定して「念の為」に商標出願をすることも善意の使用意図がないため、そのような出願はできません。
NFT商標出願の激しい「ゴールドラッシュ」と、実際にNFTエコシステムに参入する際のユニークな課題を考えると、使用や使用目的に関する課題が後を絶たないように思われます。現在のところNFTの製品およびサービスを対象とする商標出願について、使用または使用意思の欠如を扱ったTTAB決定の報告は見当たりません。しかし、そのようなTTABの判決が出てくるのは時間の問題かもしれません。
参考記事:Do you really intend to offer NFTs, digital collectibles, and virtual goods? If not, no trademark