NFTがもたらす3つの著作権問題:所有権、著作権侵害、DMCA対策

NFTの人気が高まる中、デジタルアートの分野で著作権上の問題が懸念されていています。特に、NFTの所有とアートの所有権の問題、NFTによる著作権侵害の増加予測、プラットフォームにおけるDMCA対策など、NFTのビジネスチャンスと共に問題も大きくなっています。

NFTの所有と関連するデジタルアートの著作権上の所有権は別もの

原則NFTを購入して「所有」しても、そのNFTに関連しているデジタルアートの著作権上の所有権はNFT購入者に与えられません。つまり、アートに関連するNFTの所有とオリジナルのアートの著作権は別々に存在しています。そのため、著作権者が持っている著作物を複製・販売する権利や、著作権自体を譲渡すること、二次的著作物を作成する権利などはNFT所有者にはありません。

著作権とNFTの所有が別々にあることから、NFT所有者が関連するデジタルアートをシェアする方法も制限されそうです。例えば、複製する権利は著作権者が持っているので、NFT所有者が関連するアートの画像を複製して共有したり、Instagramなどのプラットフォームで共有した場合、著作権上の問題を起こす可能性があります。

誰でも作れるNFTの人気が著作権侵害トラブルを助長する

次に問題なのが、実際に著作権上所有権を持っていない人でも画像からNFTを作成できてしまう点です。技術的に誰でも作成することができるため、NFTの販売に絡み著作権侵害のトラブルが多く発生することが懸念されています。

このような侵害案件が裁判所で争われる場合、「新しい」問題なので訴訟コストの増加と判決がどうなるかわからない不確実性に悩まされることになります。

更に、NFT自体に著作権が認められる可能性もあり、関連するデジタルアートの著作権とは別に「複数」の著作権が発生する可能性があります。そうなってくると著作権の問題が更に複雑になり司法で対応できなくなることが懸念されます。

プラットフォーマーにもNFTに関するDMCA対策が求められる

このようにNFTは著作権の問題が生じるので、NFTを扱うプラットフォーム事業者はデジタルミレニアム著作権法(DMCA)やその他の法律に基づき、著作権を侵害するコンテンツの削除、削除要請への対応などの義務を負う可能性があります。

まだ、DMCAがNFTのプラットフォームにどの程度適用されるかはまだ定かではありませんが、すでにいくつかのNFTオークションサイトでは、DMCAを利用して不正なNFTを削除しています。例えば、NFT マーケットプレイスである OpenSea は、その利用規約においてそのことが明記されています。

参考文献:”NFT Risks and Opportunities in the IP, Advertising, and Brand Management Spaces” by David Ervin, Deirdre Long Absolonne and Carissa Wilson. Crowell & Moring LLP

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

訴訟
野口 剛史

COVID-19への対応: PREP法から見た特許侵害免責の可能性

多くの企業は、医療従事者向けに個人用保護具(Personal Protective Equipment: PPE)を製造・販売することで、COVID-19との闘いに貢献したいと考えています。しかし、特許侵害訴訟の脅威にさらされる可能性があることから、企業は躊躇してしまうかもしれません。しかし、PREP法の解釈によっては、この脅威を軽減できるかもしれません。

Read More »
computer-code
特許出願
野口 剛史

特許庁の出願システムに不具合発生

追記:22日現在、システムが復旧しました。現地時間2018年8月15日の朝からアメリカ特許庁の特許出願システムの一部データベースに不具合が生じ、オンラインでの出願ができなくなっています。

Read More »