最高裁判事の1人であるJustice Anthony Kennedyが2018年6月27日、30年間の最高裁判事としての役割を終え7月31日で引退することを発表しました。
Justice Kennedyとは?
Justice KennedyはSwing voterと呼ばれて、最高裁判事の中でもどちらに転ぶかわからない(そして、多数決を決めかねない)重要な最高裁判事として見られてきました。最高裁で弁護をする弁護士の中には、主張を彼を念頭に置いて考えるという人もいるほどです。
Justice Kennedyが関わった知財関連の最高裁判決を見ても、彼の影響の大きさがわかります。彼が書いた判決には、. Bilski v. Kappos (近年の特許適格性(Patent eligibility)を提議した最初の判決)や KSR v. Teleflex (それまでの自明性ルール“teaching, suggestion, motivation”を覆す)が含まれます。
知財の分野に限ると、Justice Kennedyは、CAFCが定める明確なルールを嫌い、知財はもっと柔軟であるようにと考えていたようです。それは、彼が書いたBilski判決にもKSR判決にも反映されています。
最高裁の今後は?
今現在、最高裁判事は9人います。しかし、Justice Kennedyが引退すると、8人となり偶数になってしまいます。このような場合、判決が4v4で分かれるということもある。
最高裁判事には定年はなく、指名され議会で承認されたら、生涯最高裁判事として働くことができます。また人数に定員はありません。
最近のニュースでは、トランプ大統領が最高裁判事の候補を積極的に探しているとのことです。次に最高裁判事になる人によって、今後の最高裁での判決が大きく変わる可能性があります。また、最高裁判事をやめさせることは基本的にできないので、Swing voterであったJustice Kennedyの後継者は、アメリカの最高裁の次の10年、20年に影響を与える可能性があります。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Scott Graham. ALM (元記事を見る)