ITCが輸入後の方法クレームの侵害に基づく違反を認定

今回のITCによる意見では、第337条の違反は、関連する物品の輸入後に発生した方法クレームの侵害についても適用されるというができることを再確認できました。この判例からITCを活用するか否かを判断するときに侵害のタイミングはあまり気にしないでいいということが言えるでしょう。

Certain Blood Cholesterol Testing Strips and Associated Systems Containing the Same, Inv. 337-TA-1116, Commission Opinion (May 1, 2020) (以下「意見書」という。)

Polymer Technology Systems, Inc. (以下「原告」)は、ACON LabsとACON Bio (以下「被告人」)が、血中コレステロール検査ストリップと関連メーターを米国に輸入し、これらの製品を使用して米国特許第7,087,397号(以下「397特許」)および第7,625,721号(以下「721特許」)の主張する方法クレームを直接侵害することにより、第337条に違反していると主張していました。ALJ Cheney判事が最終的なInitial Determination(ID)を発行した後、Commissionは、テストストリップとメーターを輸入し、その後に使用した後の特定の方法クレームに対する回答者の直接的な侵害に基づいて、337条違反とするALJの判決を肯定しました。

ITC の判例では、違反は輸入後ではなく輸入時に侵害した物品に基づくものでなければならないとされているため、回答者らは 337 条違反はないと主張しました。しかし、ITC は、「自社製品は輸入時には『侵害品』ではないので違反はない」という回答者の主張は、以前に 2 回このような主張を却下した連邦巡回控訴裁の判例と矛盾していると判断しました。よってITCは、連邦巡回控訴裁判所が以前に「輸入時の要件を否定した」と結論付け、337条は輸入後に侵害する物品に適用されるとしました。Suprema, Inc. v. International Trade Commission, 796 F.3d 1338, 1348-52 (Fed. Cir. 2015)(en banc); Comcast Corp. v. International Trade Commission, 951 F.3d 1301, 1308 (Fed. Cir. 2020)も参照のこと。

次にCommission は、違反が成立しているかどうかを判断するために、適用される法令に目を向けました。合衆国法律集第 19 編第 1337 条(a)(1)(B)(i) (19 U.S.C. § 1337(a)(1)(B)(i))は次のように規定しています。「以下のことは違法である: (i) 有効かつ執行可能な米国特許を侵害する物品の米国への輸入、輸入のための販売、又は 所有者、輸入者又は荷受人による輸入後の米国内での販売。」ここでは、回答者らは米国で試験片と測定器を輸入し、その使用説明書に従って使用していました。ITC は、被告製品は、被告の指示に従って使用され、特許第 397 号および第 721 号の方法クレームのステップを実行していると結論付けました。したがって、被告製品は第337条に基づく「侵害品」であるとしたのです。

要点

ITC によるこの決定は、ITC における方法クレームの主張に関して、連邦巡回控訴裁の Suprema 判決が引き続き支配的な判例であることを思い起こさせるものです。当事者は、成形品は輸入時には侵害していないかもしれないが、輸入後に特許された方法クレームのステップを実行することで、成形品は337条を侵害し、違反する可能性があることを認識すべきです。

解説

ITCの正式名称はUnited States International Trade Commissionで、日本語ではアメリカ国際貿易委員会。つまり、貿易について管理する権限を持った行政機関になります。

ITCはアメリカに入ってくる輸入品に対して規制を行え、特許侵害をしている製品の輸入も取り締まりの対象になっています。これがいわゆる第337条調査です。

さて、今回の争点は侵害のタイミングでしたね。輸入時点(つまりITCの管轄)において、特許侵害をしておらず、その後、国内で使用する際に侵害行為が行われるという状況下で、ITCに対象製品を税関で止めるという差止命令が出せるかということが焦点 になりました。

結果としては、CAFCのSuprema判決を適用し、ITCが輸入後の方法クレームの侵害に基づく違反を認定しました。Suprema判決でも、同じような侵害のタイミングが問題になりen bancまで行く重要な判決になりました。en bancでの結論は、ITCの第 337 条は侵害のタイミングについては言及していないが、第 337 条および国境での米国の商業的利益を保護するという委員会への議会の委任を考慮すると、ITCは輸入後のクレームの侵害に基づく違反を認定するべきとしました。

今回の判決と関連判決を見るに、 輸入後にクレームが侵害される状況であっても、ITCで取り締まりの対象にすることができるということがわかったので、ITCを活用するか否かを判断するときに侵害のタイミングはあまり気にしないでいいということが言えるでしょう。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者: Vishal Khatri and Charles Lee. Jones Day(元記事を見る

OLCの米国知財ニュースレター

最新まとめ記事を
毎週メールボックスにお届け

登録すると、週1回、最新まとめ記事の概要とお知らせを受け取ることができます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

man-typing-laptop
ビジネスアイデア
野口 剛史

オンライン対多数コンサルティング

情報のコモディティ化が進む中、今後求められるコンテンツは、コンテンツを消費する人達と一緒に作ることがカギになってくると考えています。そこで、同じ関心を持っているある程度の人数に対して同時にコンサルティングを行うのはどうでしょうか?

Read More »
important-page
訴訟
野口 剛史

故意侵害のハードルが高くなった?

故意侵害が成立すると3倍賠償や相手の弁護士費用を負担を迫られるリスクがあります。このようにリスクが高い故意侵害ですが、この「故意侵害」の定義はここ数年間変わり続けていてどのような行為が故意侵害になるのかが不透明になっています。

Read More »