ITCのConsent Order違反の代償は大きい

ITC において輸入品の特許侵害が確定した場合、Consent Order が発行されアメリカへの輸入と販売ができなくなります。また、もし Consent Order が発行されてから1日でも侵害品を販売してしまった場合、故意でなくとも、高額な違反金の支払いが命じられる可能性があるので注意が必要です。

ITC 調査によって特許侵害品のアメリカへの輸入と販売が禁止された商品を扱っている会社は、禁止された商品をアメリカに輸出しないことと、アメリカ国内における販売の禁止を徹底することが必要です。違反行為があれば、どのような理由であっても Consent Order の違反と見なされ、違反金の支払いなどが発生する可能性があります。

In the Matter of Certain Dimmable Comp Act Fluorescent Lamps and Products Containing Same, 333-TA-830 (ITC January 10, 2014) において、ITC の Pender 行政判事は、以前に ITC の Consent order によって販売が禁止されていたバルブの販売に対する対策として、違反した Respondent に対して$20Kの違反金の支払いを命じました。この取り締まり自体は2014年のものですが、最近一般に内容が公開されました。

この案件の元になる ITC 調査は2012年に始まりました。この調査では、輸入品の特許侵害が確定し、2012年7月25日にRespondentの MaxLite社の dimmable compact fluorescent lamps 数点のアメリカへの輸入とアメリカ国内での販売、売り込みを禁止する Consent order が発行されました。このConsent order の有効期限は、特許の権利が満了する2013年10月13日までで、その後は自動的に失効するとなっていました。

しかし、Consent order の有効期間中に、Respondentの MaxLite社が Consent order で禁止されていたバルブの販売をおこなったため、2013年4月24日に、Consent order 違反に対する手続きが ITC で始まりました。違反行為とされたものはアクシデントで返品されてきた品物の再販売で、単発的なものでした。

Respondent の MaxLite社は、Consent order に従い、対象製品の販売をやめ、マーケティングやセールスにもその旨を伝え、在庫も隔離するなどをして対策を取っていましたが、たまたま返品されてきた侵害製品を再販売してしまったようです。

ITCにおける手続きでは、Respondent の  MaxLite社が Consent order で禁止されていた商品の販売を認めた後、どのような規制手段を用いるかが決められました。

19 C.F.R. § 210.75(b)(4)によると, Consent Orderに対する違反行為があった場合、 ITC Commissionは以下3つの規制手段がとれると定められています。
(i) Consent orderの変更(modify the consent order in any manner necessary to prevent the unfair practices);
(ii) 違反金の支払いと差止(seek to recover civil penalties for the breach of the consent order and obtain an injunction incorporating appropriate relief); and
(iii) Consent orderの取り消しと侵害品の輸入の排除(revoke the consent order and exclude the entry of articles into the U.S.)

この手続きを担当したPender 行政判事は、当事者両者ともに Consent order に対する理解は同じだったため、(i) Consent orderの変更は不要と判断。また、判事は新たな限定的輸入禁止命令( limited exclusion order)を発行しても、既存のConsent Order以上の効果はないとしました。そして、残されたオプションである違反金の支払いが今回の Consent order 違反に対するただ1つの救済処置だとしました。

違反金の計算方法

法律上、19 U.S.C. § 1337(f)(2)において、違反金の上限は$100K/1日、または、品物の国内での価値の2倍のどちらか大きい方(penalties “of not more than the greater of $100,000 or twice the domestic value of the articles entered or sold on such day in violation of the order”)とされています。しかし、あくまで上限であって、実際の違反金は法廷で定められている上限よりも少なくてもかまわないと解釈されました。

その後、どのような違反金が適切か、以下の6つの要素を考慮して決められました。
(1) 違反したRespondentの意図(the good or bad faith of the respondent);
(2) 侵害による被害(any injury due to the infringement);
(3) 支払い能力(the respondent’s ability to pay the assessed penalty);
(4) 違反行為がRespondentにもたらした恩恵(the extent to which the respondent benefitted from its violations);
(5) ITCの威厳を保つ必要性(the need to vindicate the authority of the Commission); and
(6) 公共の利益(the public interest)
Ninestar Tech. Co. Ltd. v. International Trade Comm’n, Slip Op. No 2009-1649 at 9 (Fed. Cir. Feb. 8, 2012); Certain Erasable Programmable Read Only Memories, Inv. No. 337-TA-372, Comm’n Op. at 23-24, 26 (July 19, 1991).

違反行為があったとはいえ、違反したRespondentのMaxLite社はConsent orderの後、対策を取っていたこと、今回の販売で実際に恩恵も被害も起きていないことを考慮しつつも、ITCの威厳を保つ必要性を考慮した後、最終的に$20,000の支払いをRespondentのMaxLite社に命じました。

教訓

Consent orderの違反は大きな問題になる可能性があるので、違反をしないように社内で対策を取ることが大切です。違反が判明した場合、ITCによるさらなる取り締まりや罰則が予想されます。今回の案件は、違反金の最低金額ラインですが、それでも$20Kの支払いと無視できない金額です。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者: Blaney Harper and Levent Hergüner. Jones Day   (元記事を見る

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