商標出願で増えてきている「機能不全」の拒絶の対応策

米国のミュージシャンでラッパーのLizzoが出願した「100% THAT BITCH」というマークは商標として機能しないとの理由で登録が拒絶されていましたが、商標審判委員会(TTAB)において、その商標庁の拒絶を覆すことができました。この判例的な決定は、現在、珍しいマークについてますます一般的になっている同様の「機能不全」(“failure to function” )に関する拒絶に直面している商標出願人に有益なガイダンスを提供するものです。

「機能不全」に関する拒絶

T.M.E.P.の第1202.04条は、審査官に対し、出願人の商品またはサービスの出所を特定する機能を持たないスローガン、フレーズ、表現、またはその他の提案商標の登録を拒否するよう求めています。このような拒絶は、出願商標が衣料品やアクセサリーに使用されている場合(そのような使用は単なる装飾であるという理由で)、商標が商品構成からなる場合、商標が商号(trade name)でもある場合、商標が一般的に使用されている表現である場合に多く見られます。

単なるメッセージなのか出所を識別することができるものなのか?

Lizzoの 「100% THAT BITCH」というフレーズの商標出願は、審査官がこのフレーズが 「メッセージの通常の意味、またはメッセージに対する熱意、親和性、支持を伝えているもの」 と公衆に認識されていると主張したため、拒絶されました。 「I ♥ DC」や「INVESTING IN AMERICAN JOBS」などの一般的なフレーズを登録しようとする出願人は、定期的に同じタイプの拒絶を受けますが、このケースではLizzoが拒絶に対して異議を唱え、TTABにて勝利しました。委員会は、「今回の証拠では、出願人の提案するマークが一般的に使用されていることや、DRIVE SAFELY、THINK GREEN、WATCH THAT CHILDのような共通の社会的、政治的、愛国的、宗教的またはその他の情報的メッセージを伝えていることは証明できない」と判断しました。

出願されたマークが商標として機能していないことを示すのは審査官

商標が出所を識別するように機能するかどうかを判断するために用いられる基準は、その呼称が関連する公衆によってどのように認識されるかであり、提案されたマークが商標として機能しないことを証明する責任は審査官にあります。Lizzoのケースでは、審査官は、表現の起源(バイラルなインターネットミームに由来する)に関連する証拠と、第三者のオンライン小売業者が同じ表現を施した商品を販売していることを示す証拠のみを提出し、その責任を果たすことができませんでした。 

審査会は、Lizzoがこの表現を最初に使い始めたわけではないが、彼女は2017年のヒット曲 「Truth Hurts」を通じてこの表現を普及させたと判断しました。Lizzoがこの表現を「より記憶に残る状態」にまで高めたため、審査会は、公衆のメンバーがこの表現をLizzoに帰属させ、Lizzoと識別する可能性が高いと判断しました。また、審査官が提出した第三者の使用に関する証拠は、Lizzoの楽曲のリリースより後のものであり、その証拠は、第三者が「100% THAT BITCH」に関連する製品を宣伝する際に、Lizzoとその楽曲への言及を含んでいたことを示していると判断しました。 しかし、このように、審査官が第三者の使用を示すために引用した証拠は、実際にLizzoの登録を支持するものでした。

この結果、LizzoはTaylor SwiftやCarly Rae Jepsenと同様に、歌手の代名詞となり、出所識別情報として有効に機能するようになった歌詞(Taylor Swiftでは「LOOK WHAT YOU MADE ME DO」、Carly Rae Jepsenでは「CALL ME MAYBE」など)の保護を受けることができました。

しかし、「機能不全」の拒絶を克服するために、有名である必要はありません。出願人は、審査官の証拠を慎重に検討し、拒絶理由を裏付けるものかどうかを判断する必要があります。そして、十分な裏付けがない場合、「機能不全」に関する拒絶は解消できる可能性があり、出願人は商標を得ることができます。

参考記事:Lessons from Lizzo’s Precedential Trademark Win

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