NikeはLululemonのホームジム部門「Mirror」とそれに付随するモバイルアプリが、Nikeの特許を侵害しているとして提訴しました。Home fitness業界では主要企業間による特許戦争が起こっていて、今回の訴訟でNikeもこの知財バトルに加わることになりました。
Nikeはテクノロジー企業
Nikeはアパレルやスポーツシューズで有名ですが、AppleとNike版のApple Watchを長年リリースするなどテクノロジー企業でもあり、特許にも、NFTにも積極的です。
交渉が決裂し、訴訟へ
Nikeはこの訴訟の中で、Mirrorのシステムが、ユーザーが特定の運動レベルに達することを促し、リアルタイムの測定値に基づいて心拍ゾーンを決定する装置に関して同社が出願した特許を侵害していると主張。
訴状を見ると、Nikeは水面下でLululemonと交渉しようとしたものの、侵害に関する見解の違いから、今回の訴訟に発展。
Nikeからのレターに対するLululemon(Mirror)の応答を見る限り、Lululemonは「侵害なんてしていない」という強気の声明を出しているので、訴訟は長引くかもしれません。
実際のやり取りはここ(Nikeからのレター)とここ(Lululemonの返答)で見ることができます。
Home fitness業界では訴訟だらけ
今回特許訴訟で訴えられたLululemonですが、実は、別の競合他社を特許訴訟で訴えています。
Lululemonが訴えたのは、Pelotonという日本ではまだ展開していませんがアメリカではとても有名なHome fitness機器とサービスを展開している会社です。LululemonとPelotonはアパレルで提携していたのですが、それが破綻して、特許侵害を含む訴訟に発展しています。
また、Lululemonと揉めているPelotonはNordicTrack, ProForm や FreeMotio製品を展開しているiFit や Echeloを特許侵害で提訴。これらはタブレットが付いたステーショナリーバイクをネットに接続されているいわゆるスマートエクササイズバイクと呼ばれるものに関するものです。
ここ3ヶ月足らずでこのような状況になっている直接の原因はわかりませんが、コロナ禍で巣ごもり需要が高まり、ジムにいけない「運動難民」がさまざまなHome fitness機器を買い漁った経緯があります。
しかし、その後アメリカの経済がある程度回復し、ジムにまた行けるようになったこともあり、Pelotonを始めとするHome fitnessメーカーの売上予測が落ち、それが大きく株価に影響していました。
今まではバブルで多数のプレーヤーが共有しても成長していける市場だったのが、今後は限られた市場でシェアーを取りに行かないといけない状況になるような傾向なので、そこで特許などの知財権を行使し、有利な立場を築きたいという思惑があるのでは?と勝手に想像しています。
参考文献:Nike sues Lululemon over Mirror, claiming patent infringement