初のDerivation Proceedingの公判が始まる

2019年1月末、PTABは初のDerivation Proceedingの公判をおこないました。AIAによる法改正で、interference proceedingsがDerivation Proceedingに変わりました。しかし、AIAが施行されてからDerivation Proceedingが使われる機会はなく、今回紹介するAndersen Corp. v. GED Integrated Solutions, Inc., DER2017-00007で始めて使われました。

Derivation proceedingの目的は、出願日の早い出願に明記されている発明者が、申立人の出願に明記されている発明者からクレームされている発明を許可なく得たかを決めることです。 See 35 U.S.C. § 135(a)(1); 37 C.F.R. § 42.405(b)(2).

そのため、Derivation Proceedingでは以下の点が争点になりました。

  • 申立人がクレームされたすべての特徴について想像したのか( whether the petitioner had conceived of every feature of the copied claims)
  • それらの特徴は被告側に伝わっていたのか(whether those features were communicated to the respondent)
  • 発明者の証言は十分確証があるものなのか(whether inventor testimony was sufficiently corroborated)

また、どのような特徴が必然的にしめされているのか(whether certain features were necessarily present )、用語の意味がどう理解されるべきか(how a person of ordinary skill in the art would have understood certain terms of art)も当事者間で意見の食い違いがあります。

また、事実に基づいた争点の他に、審査における基準も争われています。特許権者でもある被告人の言い分では、clear-and-convincing standard が適用されるべきとし、申立人はpreponderance standard が適用されるべきと主張しています。

公判は終わり、3月末にはPTABから判決が下るとのことです。

まとめ

Derivation Proceedingはめったにない手続きですが、この案件をきっかけに活用されていくことが増えるかもしれません。手続きとしてまだ確立していないため、様々な問題がありますが、今回の初のDerivation Proceedingに対する判決は今後にも影響する可能性があるので、今後も注目すべきだと思います。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者: Anthony A. Hartmann and Jason E. Stach. Finnegan, Henderson, Farabow, Garrett & Dunner LLP (元記事を見る

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

money-saving-incentive
特許出願
野口 剛史

小規模・零細企業の出願費用が引き下げに

2023年連結歳出法( the Consolidated Appropriations Act, 2023 )および2022年米国イノベーター解放法 (the Unleashing American Innovators Act of 2022)のおかげで、小規模・零細企業(Small and micro businesses)は特許料の引き下げを利用できるようになりました。これらの新法は最近バイデン大統領によって署名され、小企業割引を50%から60%に、零細企業割引を75%から80%に引き上げることによって、小規模・零細企業を支援することを目的としています。

Read More »
契約
野口 剛史

自動車業界にとっては悩みの種:第5巡回控訴裁が Avanci SEPプールに反トラスト法上の問題はなしと判決

トヨタやホンダがワイヤレス技術で特許出願を強化しているのは、AvanciのようなSEPの特許プールへの対抗策なのかもしれません。しかし、アメリカの裁判所ではSEP所有者有利の判決が続いており、自動車関連企業にはSEP/FRANDにおける知財のライセンスが大きな課題になっているようです。

Read More »