日本では違法の大麻(cannabis)ですが、アメリカでは、州ごとに合法化する動きが活発で、すでに、医療用・娯楽用での使用が認められている州もあります。しかし、連邦法では大麻はまだ違法なため、連邦法と州法の間で合法(不法)行為の選別が難しい業界です。また、法律の変更などに伴い、急速に日々変化を遂げている業界でもあります。今回は、アメリカで初の大麻特許訴訟が起こったので、大麻産業という業界を知財の観点から見ていきます。
大麻特許訴訟第一号
2018年7月30日、バイオテクノロジーの会社であるUnited Cannabis社は、様々な大麻関連商品を販売しているPure Hemp社が自社のU.S. Patent No. 9,730,911を侵害しているとのことで、the U.S. District Court for the District of Coloradoで、Pure Hemp社を訴えました。これが、アメリカで大麻特許訴訟の第一号になります。
不透明さ
州レベルで合法化の流れが進む大麻ですが、連邦法レベルではまだ違法のままです。このような状況から、大麻関連の特許(特許は連邦法で認められている権利)の権利行使をどのように連邦地裁が扱うかに注目が集まっています。
まだ大麻関連の特許がどのようにアメリカで扱われるのかは不透明ですが、権利化は可能で、多くの大麻関連の特許が出願・権利化されています。また、この分野における法律やビジネスは日々急速に変化しているので、時が経つにつれてルールも整ってくることが予想されます。
カナダの合法化の動きと市場
また、カナダでも大麻の合法化の動きがあり、2018年10月17日に施行されるthe Cannabis Actによって、カナダで大麻の巨大産業ができるのではと考えれています。カナダの大麻産業は娯楽用だけで、年間$5 billionという予想がなされているので、大きな市場です。
市場拡大に伴う特許訴訟の増加予想
大きな市場であるということは、当然、その市場に関連する特許がある場合、権利行使による訴訟等も今後増えていくことが予想されます。
コメント
日本企業は大麻関連の特許出願等も行わないし、アメリカやカナダの大麻関連市場に参集することも無いと思いますが、明確なルールやプレイヤーがいない新興産業に参入することはあると思います。その市場が何であれ、関連した特許があれば、市場の成長と伴い、特許の権利行使が増え、訴訟も多くなります。この大麻市場の発展をモニターすることで、他の新興産業がどのように発展していって、特許がどのような役割を担うのかを予測することができると思います。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Kimberly A. McManus, Pia-Lauren Reece and Brandon Carter. Aird & Berlis LLP | Aird & McBurney LP(元記事を見る)