Doctrine of Equivalents分析は事実に関わる陪審員に対する質問

事実に関わる問題がある場合、略式裁判(summary judgement)は適切ではなく、陪審員による審議が必要になります。ということは、必然的に訴訟が継続され公判という流れになります。訴訟が長引けばそれだけコストがかかるので、DOE分析が必要か否かは侵害の証明に加え、訴訟の長期化という要素があることを覚えておくといいと思います。

判例

Rehco, LLC v. Spin Master, Ltd.*, No. 13 C 2245, Slip Op. (N.D. Ill. Oct. 28, 2019) (Blakey, J.)において、Judge Blakeyはおもちゃの特許訴訟で、被告Spin Master’のmotion for supplemental claim constructionを許可し、略式裁判を下しました。

この地裁は以前に用語を解釈しましたが、CAFCにおいていくつかのクレーム用語の解釈が覆りました。

はじめに、CAFCは“a signal” とは1つかそれ以上のsignalを意味するとして、地裁で解釈された1つのsignalという解釈を否定しました。さらに、CAFCは“predefined-speed” という制限の解釈が実際に問題になっているのか、また、そうであれば、どう解決するべきなのかを議論するよう地裁に差し戻しました。

このことを受け、差し戻しにおいて、地裁は被告Spin Masterが提案した解釈を採用し、“predefined-speed” は “a speed programmed on the circuit board in advance to cause a vehicle to gain altitude”であるとしました。

被告Spin Masterの侵害が疑われている製品は規定のスピードがおもちゃの基盤にプログラムされていませんでした。(つまり、厳密には“predefined-speed”の解釈の範囲外。)しかし、そのおもちゃはpulse modulationの割合を決められている量だけ変えるよう基盤にプログラムされていて、その変化はおもちゃのスピードに影響を与えます。

このような状況ではliteral infringementは立証できませんが、特許権者の Rehcoは、Doctrine of Equivalents (“DoE”)における侵害は成立するべきと主張しました。 DoEの分析は事実に関わる陪審員に対する質問 であり、両当事者の異なる主張をサポートする事実があります。

よって、この訴訟における略式裁判は適切ではないという結論にいたりました。

まとめ

このようにDOE分析が必要であれば、略式裁判で侵害・非侵害の判断はむずかしくなります。DOE分析は事実に関わる陪審員に対する質問なので、公判で陪審員に判断を委ねることになります。そうすると、訴訟の長期化とコスト増、あと、陪審員という不確定要素が加わるので、訴訟リスクマネージメントがしづらくなります。
この判例から、アメリカの特許訴訟ではどの部分が法律的な問題(略式裁判で判断可能)で、どの部分が事実に係る問題(陪審員が判断する必要がある)なのかを見極めて、戦略を立てることが重要だと思われます。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:R. David Donoghue. Holland & Knight L(元記事を見る

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