Amgen Inc. v. Sandoz Inc., Appeal No. 2018-1551 (Fed. Cir. May 8, 2019) において、CAFCは均等論(doctrine of equivalents)を狭く解釈し、地裁における非侵害の判決を是正しました。
この判決に至るにあたりCAFCは、均等論は例外的に適用されるべきであり、すべての特許侵害案件で直接侵害の次に行われる分析ではなく、クレームの範囲を容易に拡大するものではないとしました。
[T]he doctrine of equivalents “applies only in exceptional cases and is not simply the second prong of every infringement charge, regularly available to extend protection beyond the scope of the claims.”
このAmgen の案件の経緯はBiologics Price Competition and Innovation Act (“BPCIA”)という製薬関連の特殊な手続きによるものですが、CAFCのパネルが均等論に関して言及したところが注目される点です。
問題になったクレームでは、”washing”ステップと”eluting”ステップが独立したステップなのか、それともそれとも合わせて1つのステップとして扱えるのかが問題になりまいた。
しかし、クレームの文言から理論的に、”enumerated ”ステップは順番通りに行わなければいけないこと、また、明細書に”washing”ステップと”enumerated ”ステップが異なる溶液を使った別々の独立したステップであることが明確に示されていたこと、という2つの理由から上記のステップは独立したものであるという地裁の判断をCAFCが是正しました。
一方、侵害が疑われたSandoz の方法では、1つの溶液を使った1つのステップしかおこなわれておらず、その結果、CAFCは文言上の侵害(literal infringement)はなかったと判断しました。
そして、均等論による侵害を主張したAmgenに対して、均等論は例外的に適用されるべきであり、実質クレームの制限を見いだすために使われるものではないとしました。
まとめ
技術分野やクレーム補正の履歴などさまざまな状況で均等論(doctrine of equivalents)の適用は異なります。そのため、今回のAmgen判決がどれだけ広く適用されるかわかりませんが、均等論(doctrine of equivalents)は自動的に行われるのではなく、例外的に適用されるべきというCAFCの発言は今後の均等論のあり方に大きな影響を与えるかもしれません。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Robert D. Rhoad and Stephen S. Rabinowitz. Dechert LLP(元記事を見る)