これからのデザイン特許侵害は「製造品」の特定が鍵になる

米国最高裁は、2016 年、Samsung Electronics v. Apple,において、 デザイン特許侵害の賠 償金を消費者に届けられる最終製品ではなく、場合によっては、製品のパーツに限定し て計算してもよいとした。

Design Patent (デザイン特許、意匠特許) — 通常の特許(utility patent)とは違 い、物の見た目(デザイン)に関わる発明を保護するもの。特許番号の先頭に “DE”が付く。35 U.S. Code § 171

この最高裁の判決以前の、デザイン特許侵害に関わる損害賠償は製品全体の販売に基づく利益だった。

しかし、最高裁はデザイン特許侵害の損害賠償に関わる法律 35 U.S.C. § 289 に書かれ ている“article of manufacture”(製造品) の解釈を製品全体ではなく、場合によって は製品のパーツに限定してもよいとした。

この最高裁の解釈をふまえて、今後はデザイン特許侵害の賠償金を決める際、該当する “article of manufacture” (製造品) を特定する必要がある。

この Samsung Electronics v. Apple では、対象デザイン特許はスマートフォンのスクリー ンの見た目という一部分に関するものであるのに、賠償金をスマートフォン全体の販売 に基づく利益とすると不当に大きな賠償金になってしまうという問題を浮き彫りにし た。

今後、判例等と通して、article of manufacture ”(製造品) を特定するルールが作られていくと思われる

個人的には、ベースになる「製造品」次第で、賠償金の金額が大きく変わることが予想されるので、今後のデザイン特許訴訟では、何が「製造品」になるのかが大きな争点の1つになってくると思う。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者: JAMES WODARSKI, PATRICK T. DRISCOLL AND MATTHEW A. KARAMBELAS. Mintz, Levin, Cohn, Ferris, Glovsky and Popeo, P.C. (元記事を見る

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

商標
野口 剛史

デザイン特許侵害とトレードドレス侵害の違い

デザイン特許もトレードドレスも「外見」を知財で守るという点では同じですが、似て非なるものです。デザイン特許は特許法で守られていて、トレードドレスは商標法で守られています。保護のベースになっている法律が違うので、「侵害」に対しても違いがあります。今回は、この違いについて簡単に解説します。

Read More »
contract-signing
契約
野口 剛史

AIA再審査を回避する契約書の書き方

通常特許の権利行使を受けた際、IPRやPGRといったシステムを使って特許庁(PTAB)で問題の特許の再審査を行うことができます。しかし、ライセンス契約等でそのようなPTABにおける再審査を受ける権利を放棄することは可能なのでしょうか?

Read More »
supreme-court
商標
野口 剛史

最高裁が .com 商標の審議へ

一般的な用語と.comなどのトップレベルドメインの組み合わせは、商標の保護の対象になるのか? 最高裁で議論されることになりました。この判決次第では、自社の .com ブランドを大々的に用いている企業に大きな影響をおよぼすことが考えられます。

Read More »