機密情報の過剰指定は原告の保護を損ねる

特許訴訟では技術面でも財務面でもとても秘匿性の高い情報を裁判所で扱います。そのため機密情報の保護は大事なのですが、行き過ぎた要求をすると、本来は保護されるべき情報も公開されてしまうので、気をつけましょう。

Uniloc 2017 LLC v. Apple, Inc. [2019-1922, 2019-1923, 2019-1925, 2019-1926](2020年7月9日)において、連邦巡回控訴裁は、Unilocの封印申立(motion to seal)の連邦地裁の否認を一部肯定し、一部を取り消し、再送しました。

Unilocは連邦地裁に対し、判例法の引用や公表された意見書の引用など、当事者の基礎となる準備書面のほとんどの資料の封印を求めました。また、裁判所に23の証拠品のすべてを封印(seal)するよう要求した。これらの証拠品には、Uniloc社の現在進行中の特許事件のリストなど、公の記録事項も含まれていました。

連邦巡回控訴裁はまず、裁判所に提出された文書へのアクセスの重要性について指摘しました。その後、連邦巡回控訴裁は、封印の申し立てを2つのグループに分類。

1つは、Uniloc自身、または、関連事業体の機密情報および/または機密性の高い情報が記載されている文書。もう一つは、第三者の機密情報および/または機密性の高い情報が記載されているとされる文書。

Unilocの情報に関しては、連邦巡回控訴裁は、Unilocが封印文書を提出し、再検討を求める基準を定めた地方規則を遵守しなかったため、連邦地裁は、Unilocの自称機密情報とその関連事業体の情報を封印するというUnilocの申し立てを却下した際に、その裁量権を濫用したものではないと判断しました。

第三者の情報については、連邦巡回控訴裁は、第三者はUnilocが過大な封印要求を提出したことには責任がないとし、独立した分析を必要としていると指摘。連邦巡回控訴裁は、連邦地裁が公衆のアクセス権と第三者の財務情報やライセンス情報を公開しないようにするという第三者の利益とのバランスが適切に取れているかどうかを適切に評価するのに十分な調査結果を得られなかったと結論付け、連邦地裁が第一審で検討するために、連邦地裁の判断を取り消し、再送しました。

留意点: 機密情報を持つ訴訟当事者は、自分の情報を現実的に評価し、真に機密性の高い情報のみを保護しようとするべきである。裁判所が情報を機密情報として指定するために自由裁量を与えると仮定するのは間違いです。

特許訴訟の場合、重要な技術や未発表の製品、公開されていない財務状況などをDiscoveryの一環として提出することがあるので、そのような機密情報を非公開にする封印(under seal)手続きは一般的です。

侵害に関わる重要な証拠であっても敵対する当事者には見せず、その弁護士だけに見せる(Attorney’s eyes only)という対処も頻繁に行われます。

しかし、公開情報など明らかに機密でない情報を含む多くの書類や情報、証拠を封印(under seal)する手続きは却下される可能性が高いので注意が必要です。今回はUnilocがNPEということもあり、ライセンス情報など第三者が関わるところは再審議されることになりましたが、通常の場合、保護されるか否かは一括して判断されます。

つまり、保護を要求した対象物に機密情報が含まれていたとしても、個別に対応することはなく、全体として保護するべきか、保護は必要ないかが判断されます。つまり、明らかに行き過ぎる封印(under seal)手続きを要求した場合、本来保護されるべき情報も公開されてしまう李クスが高まります。

そのため、封印(under seal)手続きをリクエストする際は、その範囲が適切であって、抗解除法を含まない部分で行われていることを確認する必要があるでしょう。

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まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Bryan K. Wheelock. Harness, Dickey & Pierce, PLC(元記事を見る

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