トレードドレス(trade dress)の有効性を判断する際、Louboutinの機能性テストを適用し、商標で保護されている対象に機能性があるかを分析するべきです。トレードドレスは機能性があると判断された場合、商標の保護が受けられないので、トレードドレスが関わる訴訟における重要なポイントになります。
判例:Sulzer Mixpac AG v. A&N Trading Co., Case No. 19-2951 (2d Cir. Feb. 18, 2021) (Pooler, J.)
デザインマークで保護されていた色に機能性あり商標保護を取り消される
米国第2巡回区控訴裁判所は、デザインマークにおける色の機能性を取り上げ、色がサイズや部品のマッチングの指標として使用される場合、それは機能的なものであり、トレードドレスとして適格ではないと判断し、商標権者の不正競争および商標権に関する請求について連邦地裁が下した判決を覆しました。
競合他社間の商標紛争で色の機能性が問題に
Sulzer Mixpac社とA&N Trading社は、歯科医が歯科治療のために使用されるミキシングチップを製造・供給する競合会社です。Mixpac社は、ミキシングチップに使用されるイエロー、ティール、ブルー、ピンク、パープル、ブラウン(以下、キャンディカラーと総称)の商標を取得しました。
Mixpac社はA&N社に対し、不正競争、コモンロー上の商標権侵害、ランハム法上の商標権侵害、商標の偽造、原産地呼称の偽装を主張して訴訟を提起します。しかし、A&N社は、Mixpac社がキャンディカラーをミキシングチップに使用しているのは機能的なものであり、商標保護の対象にはならないと主張して反訴しました。
地裁は他の競合他社と比較して「機能性なし」と判断
連邦地裁は、ミキシングチップに色を付けることでコストが上がることや、他の競合他社が透明なチップを使用していることなどを考慮して、Mixpac社のキャンディカラーの使用は機能的ではないと判断。Mixpac社に有利な判決と差止命令を下しました。それにA&N社は控訴。
機能性テストの適用で逆転判決
第2巡回区は、連邦地裁が、Mixpacの商標にLouboutin three-part aesthetic functionality testを適用しなかったのは誤りであると説明し、逆転判決を下しました。
Louboutin Testでは、デザイン上の特徴が商標保護の対象となる非機能的であるかを判断するため以下の3つのポイントを検討します:
(1)製品の「使用または目的に不可欠」であるかどうか
(2)製品の「コストまたは品質に影響を与える」かどうか
(3)競争に大きな影響を与えるかどうか
第二巡回控訴裁判所は、このテストのLouboutin テストの1つ目を適用し、裁判での証言から、色は直径を意味し、ユーザが適切なカートリッジを選択する際に役立つことから、商品の操作性を向上させることができると結論付けました。
参考文献:”Colorful Non-Functionality Argument Misses the (Design) Mark” by Elizabeth Teter. McDermott Will & Emery