特許訴訟においてクレーム解釈はとても重要なステップです。特許の有効性と侵害の問題がクレーム解釈によって変わる場合もあるので、どのようなものがクレーム解釈に影響を与えるのかを知っておくことは特許訴訟において重要な点になります。
基本的なアプローチ
クレーム解釈はクレームで使われている用語の分析から始まります。一般的に、クレームで使われている用語にはordinary and customary meaningが与えられます。ordinary and customary meaningとは、当業者が発明があった時点で理解している意味を示すものです。そして、その意味の解釈を行うために重要視されるのは“intrinsic record” で、クレーム、明細書、審査履歴(prosecution history)が含まれます。また、関連するアメリカ出願で同じクレーム用語が使われていて、同じ出願から派生しているものも考慮の対象になります。
また、場合によっては、エキスパートの証言、先行例文献、発明者の証言、辞書などを含むextrinsic evidenceが考慮される場合もありますが、このような証拠は、クレームの文言と相反する解釈を導き出すことには使えず、“intrinsic record” よりも証拠としての価値が劣ります。
外国の関連特許の審査履歴が考慮されるための条件
このようにアメリカにおける関連出願の審査履歴がintrinsic recordとして扱われることは一般的ですが、外国の関連特許の審査履歴がintrinsic recordとして扱われるためには以下の条件を考慮する必要があります。
- if it was “‘made in an official proceeding in which the patentee had every incentive to exercise care in characterizing the scope of its invention;’”
- if “the two patents are related and share a familial relationship;” and
- if the foreign application contains a claim identical to the U.S. claim at issue at the time the statement was made.
CAFCは上記の条件を考慮し、問題になっている特許のクレームスコープに関連するものだったり、doctrine of equivalentsを考慮する際に、外国の関連特許の審査履歴を参考にする場合があります。
しかし、気をつけないといけない点もあります。まずクレームや明細書そして関連するextrinsic evidenceによってはっきり示された事柄を変えるようなものではないという条件があります。またアメリカにはない外国の特許庁特有の要件に対応した場合の表明(Representation)は考慮されません。
まとめ
このように外国の審査履歴における表明が場合によっては、アメリカの特許のクレーム解釈に利用される場合があります。ある一定の条件をクリアーしないと考慮されませんが、クレーム解釈は特許訴訟において重要な手続きなので、アメリカ以外の国における特許審査においても、アメリカのクレーム解釈に悪影響を与えるような表明(Representation)はなるべき避けるべきです。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Marc T. Morley and Melissa Brayman. Mintz (元記事を見る)