Covered Business Method (“CBM”)特許のレビューは、金融製品やサービスの仕組み、運営、管理などに関わり、技術的な発明に言及していない特許に対して行えます。しかし、誰でもCBMを申請できるわけではなく、申し立てをするには実際にCBM特許で訴えられた、または、権利行使された当事者か、real party in interest(実質的利益当事者)である必要があります。CBMレビューの対象はIPRよりも広く、例えば、特許法101条(特許適格性(Patent eligibility))に関するものや、特許法112条( 記載不備など)についても審議を行うことができます。
CBM誕生の背景
CBMは移行期間限定の手続きで、議会が延長しないかぎり、2020年9月で受付を終了します。CBMが誕生した背景には、金融市場関連の問題特許があります。議会は、1990年代から2000年代にかけ、法律の不明確さ、先行例の少なさ、審査官不足により、特許庁がいくつもの権利化されるべきではなかったビジネス方法特許を認めてしまったという認識から、このような期間限定のCBMレビューが誕生しました。CBMレビューは、このような低品質の特許を効率的に排除する仕組みとして作られました。
統計データ
AIAによる特許法の改正があった2012年から、550件以上のCBMレビューが行われています。しかし、その数は去年ごろから減少し始め、2018年6月の特許庁による統計データでは、2018年度では、30件ほどしかCBMに対する申し立てがありませんでした。また、ここ数ヶ月では、数件しかCBMの申し立てがありませんでした。
この件数の減少にはいくつかの原因が考えられます。まずは、CBM特許が権利行使されることが少なくなったということです。最高裁判決のAlice判決やその後のAlice関連のケースなどの影響で、CBM特許を権利行使しづらい環境になってきています。また、最高裁とCAFCはCBMレビューの対象になる特許のタイプを限定してきた経緯があります。CBMレビューが始まったころは、特許クレームと金融の関連についての基準は低かったのですが、今CBMレビューを申し立てる場合、クレームと金融の関連は厳しく見られます。
今後に注目
このような中、CBMレビューを延長してほしいと願っている人もいます。2020年9月以降までCBMレビューが延長されるべきか、今、議会で審議がなされているとのことです。しかし、CMBレビューの件数が減少していく中、継続を支援する流れはあまりありません。2020年9月以降もCBMが継続するか、引き続き情勢を見守る必要があります。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:John A. Marlott. Jones Day(元記事を見る)