Apple v. Qualcomm: Public interestがiPhoneの輸入規制を防ぐ最後の手段?

ITC 行政判事は、Apple がアメリカに輸入している iPhone が Qualcomm のアメリカ特許を侵害していると判断したにもかかわらず、iPhone の輸入規制をしないという判決を下しました。これは輸入規制をした際の Public interest を懸念したものですが、今後は、ITCパネルによるレビューや大統領のレビューもあり、この判決が変わる可能性もあります。

ITC 行政判事の Thomas Pender 判事は、Intelの技術をベースにした iPhone が ITC で対象になった Qualcomm の特許3つの内、1つを侵害していると判断しました。通常、ITC で特許侵害が認められつと、Exclusion order(つまり、侵害品に対してアメリカへの輸入制限がかかり、iPhone が輸入できなくなる)が発行されます。しかし、Pender 判事は、輸入規制をおこなうと Public interest を害する恐れがあるとして、輸入制限をおこなわないという判決を下しました。

Public interest が理由で Exclusion order を免れるというのは非常に珍しいことです。ITC は輸入品によるアメリカ市場における不正競争を取り締まるのが役目で、通常、アメリカの特許を侵害する輸入製品は不正競争に値すると考えられるので、輸入規制の対象になります。しかし、輸入製品によっては、例外的に、輸入規制を免れてきたものもいくつかあります。

しかし、Public interest が理由で Exclusion order を免れたという事例は、ITC の長い歴史のなかでも3件しかありません。実例の概要は元記事に書かれていますが、基本的に国家の最善の利益に具体的な脅威をおよぼすもの(”a real threat to the best interests of the country”)でなければ、Public interest を理由に Exclusion order を回避することはできません。

このような背景から、このITC行政判事による判決が ITC パネルによってレビューされた際に、判決が覆される可能性があります。

また、ごくまれですが、ITC による Exclusion order は、大統領によって破棄される可能性もあります。ITC が創設されてから過去に6回しかありませんが、ITC による判決から60日以内に、大統領は政治的な理由から ITC による判決を許可しないという判断を下せます。許可されなければ、ITC による Exclusion order は効力を失います。

通常はこのような大統領による介入はほぼありませんが、アメリカにある2つの大企業Apple と Qualcomm の戦いであることと、トランプ大統領の過去の行動(シンガポール企業の Broadcom による Qualcomm の敵対的買収を防いだことなど)を見ると、今回の案件に対して大統領による何らかの介入もおおいに予想されます。

このApple v. Qualcommの戦いはITCにとどまらず、世界各地で特許紛争が起こっています。この世界規模の知財問題がどのように終止符を迎えるのか今後の展開が楽しみです。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:   Shamita D. Etienne-Cummings. White & Case LLP  (元記事を見る

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