“on-sale bar”とは、特定の発明に関する販売が出願の1年以上前に起こった場合、発明の権利化を禁止するものです。このような“on-sale bar”はAIA以前からありますが、AIAでも明記されています。(35 U.S.C. § 102(b) (pre-America Invents Act (“AIA”)); 35 U.S.C. § 102(a)(1) (AIA))。
議題
2018年6月25日、最高裁は、この“on-sale bar”に関する問題に関し、Helsinn Healthcare S.A. v. Teva Pharmaceuticals USA, Inc.,で審議を行うことを示しました。最高裁に提示された問題は、AIAにおいて、秘匿の義務がある中での発明者による第三者への発明の販売は、発明の特許性を決める上での先行例となるのかというものです。( “Whether, under the Leahy-Smith America Invents Act, an inventor’s sale of an invention to a third party that is obligated to keep the invention confidential qualifies as prior art for purposes of determining the patentability of the invention.”)
背景
TevaはHelsinnの特許を無効にしようとしていました。Helsinnの対象になった特許は、日付の関係上、AIA前のものと後のものが混在する形になっていました。その中で、TevaはAIA前と後の102条違反を指摘。 その関係特許の“on-sale bar”にかかる日付の前に、HelsinnはMGI Pharmaとライセンス契約と購買契約を結びました。その契約には、特許が使われた製品の生産もオプションとして入っていました。契約内容のほとんどは公開されたのですが、値段とライセンスに関わる(特許使用製品も含む)特定の投与量は機密扱いされていて、非公開内容でした。
このような事実を元に、地裁は、契約はAIA以前の102条における商業的オファーだとしましたが、AIA後の102条においては販売ではないという、AIAの前後で“on-sale bar”に関して異なる立場を示しました。AIA後で102条における販売ではないとした理由は、特許になっていた投与量が公開されてなかったからです。
その後、CAFCは地裁の判決を覆し、102条はAIA前後で変わらず、秘匿義務のある契約でも販売になるとしました。CAFCはHelsinnのAIAに関わる議会の記録によるAIA後の102条に対する変更に関する主張を退け、発明に関する事柄が開示されていなくても、それが含まれる契約自体が公開されていればそれで102条におけるSalesを満たすとしました。これを不服としたHelsinnが最高裁での審議を希望。
最高裁は今回、この事件を審議することを決め、AIA前後での“on-sale bar”について変更があったのかについて言及します。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Maria A. Stubbings. Perkins Coie LLP (元記事を見る)