WIPOによるレポートで人工知能に関する特許ランドスケープが見えてきました。今回はそのレポートからわかった10つのポイントをお伝えします。
1.AI関連特許は2013年から急増
AI技術自体は1950年からありましたが、AI関連特許が増えてきたのはここ最近です。2013年以降の伸びは顕著で、2012年から17年まで、毎年年間で28%も増えています。
2.AIの中でも機械学習の分野が多く、成長も早い
機械学習の分野はAI関連特許の40%を占めていて、もっとも出願されている分野になります。また、特許数の伸びも顕著で、2011年から16年まで、毎年年間で26%も増えています。
3.AI適用では流通と通信がトップ
AIは様々な業種に適用されることが見込まれていますが、特許明細書を見る限り示されている用途には流通と通信が多いようです。その他にもセキュリティ、パーソナルディバイス、生命化学、医療の分野での応用も多く示されています。
4.中国が最初の出願国としてトップに
アメリカを僅差で退けて、中国が最初の出願国としてトップになりました。ということは、中国の企業が積極的にAI関連特許を出願していることになります。
5.国際出願率が高い
AI特許の場合、自国のみで権利化するだけでなく、他の国でも権利化を試みる割合が高いです。アメリカで最初に出願された特許の32%、日本で最初に出願された特許の40%が海外にも出願されています。
6.IBMとマイクロソフトがトップ2
AI関連特許の保持数を企業別で比較すると、IBMがダントツの1位。それにマイクロソフト、東芝、サムソンが続く形になっています。トップ20の内、12社が日本企業、3社がアメリカ、2社が中国となっています。
7.中国の伸びが顕著
中国企業The State Grid Corporation of ChinaはAI関連出願を2013年から16年まで、毎年年間で70%も増やしています。
8.中国の大学や研究機関の活動が活発
アカデミアの分野で、トップ20の内、17に中国の大学や研究機関がランクインし、ほぼ独占状態です。
9.訴訟に至った特許は1%未満
まだ市場が始まったばかりなのでこのデータはあまり参考にならないかも知れませんが、訴訟案件は1%未満とのことです。しかし、市場が成長するにつれ、訴訟の数も増えていくことが予想されます。
10.AI関連の企業買収が2016年以降盛んに
買収先企業のトップ3はAlphabet、アップル、マイクロソフトです。その中でも、Alphabetの企業買収は最も多く、全体の4%に上ります。
WIPOレポートはここからダウンロードできます。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者: Bridget Diakun. IAM(元記事を見る)