南アフリカ共和国が世界で初めてAIを発明者と認め特許を発行

人工知能「DABUS」を発明者とする特許はアメリカやヨーロッパを始め多くの国で出願されてきましたが、アメリカなどでは特許として認められずにいました。しかし、今回、南アフリカ共和国が世界で初めてAIを発明者と認め特許を発行しました。

サリー大学のライアン・アボット教授とそのチームは、イマジネーション・エンジン社のCEOであるスティーブン・ターラー博士が開発した人工神経システム「DABUS(device for the autonomous bootstrapping of unified sentience)」の発明を特許化するために、世界中で出願手続きを行っています。

今までDABUSは2つの発明を考案して、具体的には、緊急警告灯と、フラクタル幾何学に基づいてグリップ力と熱伝導を向上させた食品容器です。

DABUSの開発チームがDABUSを単独の「発明者」として、上記の発明に関する出願をしている理由を3つあげています。1つは、機能的にDABUSが発明家の仕事をしたこと。2つ目は、これが従来の人間の発明ではなく、AIが生み出した発明であることを世間に知らせるため。そして3つ目は、誰かがやってもいない仕事を自分の手柄にすることを防ぐため。

2018年以降、DABUSの開発チームは、英国、欧州、オーストラリア、米国、ドイツ、南アフリカを含む10以上の管轄区域で、DABUSを唯一の発明者として特許を出願しています。

英国、EPO、USPTOは、人間ではない発明者が特許出願をする問題について初めて取り組み、 いずれも、DABUSが「自然人」ではないという理由で出願に異議を唱えました。特に、米国では、この決定は、少なくとも部分的には、「自然人のみが「発明者」になれる」とする連邦巡回控訴裁判所の判決に基づいています。Beech Aircraft Corp. v. EDO Corp., 990 F.2d 1237, 1248 (Fed. Cir. 1993).

このような状況の中で南アフリカは、AI、具体的にはDABUSが発明者となる特許を最初に発行しました。 しかし、南アフリカの特許法は、英国や欧州、米国の特許法とは大きく異なります。 というのも、南アフリカでは、正式な審査プロセスがありません。 むしろ、出願人は出願を完了するだけで特許を得ることができるシステムになっています。なので、今回のニュースは、今後の各特許庁における「発明者」の定義やAIによる発明に基づく特許の審査に大きな影響を与えるものではなさそうです。

参考文献:South Africa issues world’s first patent naming AI as inventor

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

ビジネスアイデア
野口 剛史

内製化サポートビジネス

特許翻訳はAIやITツールの進化が著しく今まで翻訳家に依頼していた案件を社内で内製する動きがあります。内製化には課題も多いですが、うまくいけばコストカットや納期短縮、ノウハウの蓄積などの利点も多いです。そのため、今後は知財関連でも外に依頼してきた多くの仕事が内製されていくのではないでしょうか?

Read More »
money
ビジネスアイデア
野口 剛史

弁理士試験費用の貸金サービス

弁理士試験には多くの費用がかかりますが、事務所や企業が負担するケースは少ないようです。しかし、長期的に見たら従業員にとっても雇用主にとっても弁理士資格を得ることはメリットがあるので、雇用主側の負担が難しいのであれば貸金サービスを提供したらどうでしょうか?

Read More »
hand-shaking-settlement
訴訟
野口 剛史

和解の成立タイミングはとても重要

和解が成立した時点で、たとえ和解後に行わなければいけない事柄があったとしても、訴訟自体に法的な重要性がなくなるということが今回の判例で明確になりました。訴訟の和解は重要な判決が下る直前に結ばれることがよくあるので、この判例は今後の和解戦略を考えるのに重要な判決になるでしょう。

Read More »