11月8日、特許庁から予算に関するレポートが公開されました。公開されたレポートによると昨年度特許庁に支払われた費用の総額は $3Billion を超えることがわかりました。
アメリカ特許庁の会計年度は10月1日に始まり翌年の9月31日に終わるというちょっと変わった会計年度です。会計情報は四半期ごとに発表されていますが、11月に公開されたレポートは年度が終わった時期なので、2018年度の実績が公開されていました。
総計で特許庁は$3,338.8Mの費用を受け取り、そのほぼ90%が特許に関する費用でした(Patents: $3,009.9M, Trademarks: $328.9M)。 費用から見ると特許出願の市場と商標の市場には約10倍の差があるようです。アメリカの知財関連の法律事務所でPatent attorneyやPatnt agentを多く雇っているところでも商標担当の弁護士は1~2なので、費用の内訳と市場規模は関連性が高いのかもしれません。
比較のために日本特許庁の歳入を検索したところ、平成30年で特許料等収入が123665000000円らしいです。ドル換算すると約$1.1Billionなので、費用から市場が比べられるならアメリカの特許市場は日本のものに比べて約3倍大きいということになります。感覚的に合っていますかね?
話はそれますが、日本特許庁には前年度剰余金受入が147905000000円(ドル換算すると約$1.3Billion) あるようです。この金額は出願費用一年分以上です。こんなお金、何に使うんですかね?現金で持っているよりももっといい使い道があるような気がしますが。
アメリカ特許庁の同じような項目を見ると、$250M程度(Actual Prior Year Operating Reserve 252,919,819)です。繰り越された剰余金は $3Billion 以上の収入と比較するとわずか8%です。運営スタイルが異なるのかもしれませんが、ある程度一定の収入が毎年見込める特許庁のような組織で日本のように過剰な剰余金があるのはちょっと不自然さを感じます。誰か理由を知っていたら教えてください。
話がそれましたが、アメリカ特許庁の会計報告に戻りたいと思います。特許庁は昨年度 $3.3Billion の収入があり、3.0Billion ほどの支出がありました。黒字ですね。アメリカ特許庁は毎年黒字経営で、過去に連邦政府が特許庁の収入を他の政府機関に流用して話題になったことがあります。
さて今後の特許庁関連費用ですが、改定案が内部で議論されています。公聴期間も終わり、近いうちに新しい費用の発表がありそうです。また、特定の出願人(女性、マイノリティ、veterans)に対する優遇措置も検討されています。
詳しくは、アメリカ特許庁の会計報告を参考にしてください。