2020年Derwent Top 100グローバルイノベーター公開

元々はthe Thomson Reuters Top 100 Global Innovatorsでしたが、今は名称が変わってDerwent Top 100 Global Innovatorsという形で続いています。最新版のレポートはここから無料で入手できます。

プレスリリース

特許はすべて同じではない。ある発明は頻繁に引用され、後の出願に大きな影響を与えるが、別の発明はそのようなことは全くない。ある発明は高額の費用を使い広く多くの国で出願されるが、別の発明はそうではない。また、ある発明は特許になるが、他の発明は特許を得られないままで審査が終わる。

Derwent Top 100グローバルイノベーターでは、特許出願はあくまでも考慮されるための条件に過ぎず、実際の評価は以降の他者への影響度、国際出願率、権利化率などが考慮されます。

多くの特許出願を分析した結果、トップ100の組織をランキングしました。

実際のレポート

まずランキングと言っていますが、1位から100位があるわけではなく、100番以内にはいいた会社をアルファベット順にリストしています。これはある意味で、主催者として細かな順位をつけることで起こる不満などを回避する狙いがあるのかなと思います。

詳しい評価基準は書いていませんが、レポートのP6と7に概要が書いてあります。14,000の組織が対象になったとのことです。

  1. ボリューム: 過去5年間で100件以上の特許を得ていて、500件以上出願している組織が対象
  2. 影響力:後に他社から出願された特許出願への影響力。過去5年間の引用データを用いて影響力を評価。
  3. 権利化:権利化率を過去5年のデータから評価
  4. 国際化:中国、ヨーロッパ、日本、アメリカを主要国とした出願国の数で国際化を評価

データはDerwentで独自に持っているデータベースを活用したとのことです。

ランキングの後に、ちょっとした分析が書かれています。

分析データはTop100に限ったものも、そうでないものもあり、大きなトレンドを表しているのが多いです。

個人的に面白かったのが、トップが全体に占める割合が減ってきていること。つまり、いままでトップに君臨していたところの独占力が下がってきて、新興企業の勢いがすさまじくなっているところ。6年前は25%以上の発明がトップ1000から出ていたものの、その割合はたった6年間で18%にまで低下。特許の戦国時代の訪れを感じます。

レポートを読んでみて

昔からランキングをしているところなので、このランキングは今後も毎年発表されると思います。やっぱり分析を売りにしている会社はこのようにレポートを出さないと影響力がでないので、毎年ランキングをすることで実績を作っていっているのだと思います。

でも、元データや評価の詳細な方法はわからないので、まあ、ランキングに入ったからすごい、入っていないから知財は全然ダメという訳でもないので、このランキングが意味するところを自分なりに考えて理解することが大切だと思います。

The Derwent Top 100 Global Innovators listはここから入手できます。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Derwent(元記事を見る

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