アメリカでの特許訴訟は2015年をピークに毎年減少傾向にあります。実質的な事業をもたないNon-Practicing Entities (NPEs)による訴訟も減少傾向ですが、ハイテク業界ではNPEsによる特許訴訟が大半です。また、NPEのターゲットは中小企業移りつつあります。
日本の中小企業もアメリカで商売を行っている場合、NPE対策をする時代がやってきました。NPEのターゲットが大企業から中小企業に移っていく中、特にハイテク業界の中小企業は事前にどうNPEの特許権行使に対応していくか対策を練る必要があるでしょう。
2018年9月末までの地裁における特許訴訟とPTABにおける再審査の件数は2017年の同時期にくらべ15%減少。しかし、NPEによるハイテク業界をターゲットにした特許訴訟は他の業界よりも明らかに多く、ハイテク業界は会社の規模にかかわらずNPE対策が求められます。現在の傾向が続くと、2018年の新規の訴訟件数は3,380件で、PATB案件は1,655件になる見込みです。
新規の特許訴訟数はピーク時の2015年に比べ40%ほど減少しています。この減少傾向は年々続いていて、いつどのくらいの数字で下げ止まりするかが注目されています。またNPEも初期の頃よりも多彩化しているので、業界や会社の規模などを絞って、特定のNPEに対する対策をとるような活動が必要かもしれません。
特許が争われる管轄ランキングですが、圧倒的人気を誇るのがPTABです。PTABでおこなわれるIPRは訴訟に巻き込まれたときに特許を比較的早く無効にできる手段なので、このPTABの人気は十分納得がいきます。また特許訴訟のメッカだったEastern District of TexasもTC Hertland判決以降、訴訟件数が激減し、それに伴い会社設立によく使われるDelawareや多数のハイテク業界が存在するCaliforniaでの訴訟が増えています。
元記事にはグラフを交えてわかりやすく統計データが紹介されていますので、参考にしてみてください。
特許訴訟は減少傾向にありますが、中小企業もNPEのターゲットになる時代がやってきました。日本の中小企業でもアメリカで事業を行っていればアメリカで特許訴訟に巻き込まれる可能性があるので、事前にアメリカ特許訴訟対策、特にNPE対策を行うことが重要になってくると思います。
まとめ作成者:野口剛史
元記事: Unified Patents Inc (元記事を見る)