米国特許庁がロシア特許庁との提携を解消

ロシアでは現在、ロシア出願人以外による出願中の特許案件に関する文章でのやり取りや費用の支払いが困難なため、今回の米国特許庁とロシア特許庁の提携の解消そのものがどのような影響を及ぼすかは明確ではありません。しかし、大幅な遅れが生じるのは確実なので、影響を受ける出願人は早め早めの対策を取る必要があるでしょう。

USPTOによる正式表明:USPTO statement on engagement with Russia, the Eurasian Patent Organization, and Belarus

USPTOの発表概要

3月10日、米国特許庁(USPTO)は、ユーラシア特許機構(the Eurasian Patent Organization)(ロシアとベラルーシを含む)およびロシア知的財産庁(the Russian intellectual property office 通称「ロスパテント」)との協力を打ち切りました。これは、先に欧州特許庁が2022年3月1日にロスパテントおよびユーラシア特許機構との協力関係を停止すると発表したことを受けての措置です。

USPTOは声明の中で、今回の措置は米国国務省の指導に対応するものであることを示しました。同様に、USPTOを監督する米国商務省は、「ベラルーシがロシアのさらなるウクライナ侵攻を実質的に可能にした」ことを受け、ベラルーシに 「厳格な輸出規制」(stringent export controls) を課すと発表しています。

ロスパテントを活用したPCT出願への影響は?

この変更が、ロシアやユーラシア特許機構の他の国々における知的財産の出願や保護にどのような影響を及ぼすかはまだ不明です。しかし、重要なのは、2012年1月10日、ロスパテントは、米国特許庁を受理官庁とする国際出願について、特許協力条約(PCT)に基づく国際調査機関(ISA)および国際予備審査機関(IPEA)として活動する権限を付与されたことです。今回のUSPTOの声明は、この権限を終了させるものと思われますが、すでに提出されているロスパテントをIPEAまたはISAとして指定したPCT出願にどのような影響があるかについてはUSPTOから声明は出されていません。

この変更により、最低でも大幅な遅延が発生する可能性があります。出願人は、予想される期限に十分余裕を持って代理人と連絡を取り、問題を適時に解決する必要があります。さらに、出願人は、今後数週間から数ヶ月の間に他の国の特許庁がとったこれらと同じ出来事への対応を考慮する必要があります。

対策は専門家と協議の上で

現在、USPTOの声明に影響を受ける国で知的財産権の出願中または取得済みの特許がある場合、またはこれらの国に関わる可能性のある知的財産を保護しようとする場合は、ライセンスを持つ弁護士に連絡し、USPTOの発表があなたの特定のケースに及ぼす影響(もしあれば)を判断することが重要でしょう。
参考記事:United States Patent and Trademark Office Severs Ties with Russian Patent Office

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