特許庁が代理人のCLE認証・認定を撤廃に

一般的に、アメリカの弁護士は毎年認可された法律に関する教育である継続法教育(continuing legal education、CLE)を一定時間受講する必要があります。アメリカの特許弁護士はUSPTOのライセンスと弁護士の資格の両方を持っている人と、USPTOのライセンスしかもっていない人がいます。そのため、弁護士でないUSPTOのライセンスしかもっていないPatent AgentにCLEのを受講させる動きがあったのですが、中止なったようです。

代理人に対するCLE受講に関する規定は廃止に

米国特許商標庁(USPTO)は、37 C.F.R. § 11.11(a)(1) and (a)(3)を改正し、登録されている特許実務家およびPTOに対して特許業務に限定承認を受けた者(以下、合わせて代理人)に対する任意の継続法教育(continuing legal education、CLE)証明に関する規定を廃止する最終規則を発表しました。この最終規則は2023年2月27日に発効します。

代理人へのCLE受講の動き

2020年8月3日、PTOは、37 C.F.R. §11.11(a)(3) に基づき、代理人がCLEの修了を自主的に証明することを規定していました。11.11(a)(1)では、登録特許実務者(または37 C.F.R. §11.9に基づき限定承認を受けた者)が、過去24ヶ月間に指定さえた時間のCLEを修了したと証明したかどうかを登録懲戒局(OED)長官が公表できると規定していました。2020年10月9日、USPTOはCLEガイドライン案を公表し、意見募集を行い、2021年6月10日、USPTOは2022年春にCLE自主認定を進めると発表していました。しかし、PTOはパブリックコメントを検討した結果、2021年12月16日に自主的なCLE認証の実施を無期限延期することを決定しました。

さらにパブリックコメントを検討した後、PTOは2022年11月14日に暫定最終規則(IFR)を公表し、USPTOにおける特許案件の実務に関する規則から任意のCLE認証および認定規定を削除しました。IFRでは、2022年12月14日までに関係者が意見を提出する機会が設けられていた。PTOはコメントを受け取らなかったため、IFRをそのまま採択した。規則変更の詳細については、連邦官報公告をご覧ください。

PTOは、将来、特許実務家のCLE報告について再考する可能性があります。

CLE認証は任意であったため、その廃止が特許実務家に大きな影響を与えることはないと思われます。

参考記事:PTO Eliminates CLE Certification and Recognition for Patent Practitioners

ニュースレター、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

商標
野口 剛史

新しい商標メール詐欺を避けるために

商標情報は公開されているので詐欺に悪用されやすい傾向にあります。今までも商標に関する詐欺行為はありましたが、騙す技術も年々洗練されていっています。今回は、最近の商標関連のメール詐欺を中心に、商標に関する気をつけたい詐欺行為とその対策方法を解説していきます。

Read More »
Uncategorized
野口 剛史

知財IR活動

今回、知財の意識と理解のギャップに関する記事を紹介しましたが、そこにビジネスチャンスがあると思い、大々的に自社の知財活動を投資家にアピールして会社の時価総額に貢献するという取り組みはどうでしょうか?

Read More »