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最高裁で審議される知的財産権関連の訴訟

米国連邦最高裁判所は、最近、特許と商標に関する2つの知的財産権訴訟について、審理を許可しました。

特許案件:特許の開示はどの程度で十分か?(Amgen Inc., et al. v. Sanofi, et al.)

特許法に関連して、最高裁は、いわゆる「属クレーム」(genus claims)を有する特許の実施可能性の問題を判断するために、審理を許可しました。属クレームは、本質的に機能的であり、その機能を遂行するためのいくつかの可能性を有する発明を対象としています。

本件は、いくつかの残基(residues)のうちの1つに結合するモノクローナル抗体に関する発明です。これらの残基には多くの異なる抗体(antibody)が結合する可能性があり、この特許は、何百万もの潜在的な選択肢(まだ知られていないものも多く含む)の中のいくつかの例を記述しています。つまり、特許権者は、その分野の誰かがその発明を作り、使用できるように、十分に詳しくその発明を開示したかどうかということが、今回の最高裁における審議の重要なポイントとなります。具体的には、いくつかの例で十分なのか、それとも、あらゆる例を網羅的に記載しなければならないのか、開示の量や質に関してどこで線引されるか(そのような判決があるか)が注目されています。あるいは、属クレームに必要なサポートを提供することは不可能であるという見解から、属クレームという考え方を真っ向から否定するかもしれません。

この事件は、バイオテクノロジー関連の特許を保有する権利者にとって注目すべきものですが、判決文の内容によっては、機械特許や電気特許にも波及する可能性があります。機械特許や電気特許では、「基部に結合されたクリップ」のような機能的な表現で発明を主張することもあるため、このような機能をクレームした場合の明細書内での開示内容に関しても影響を与えてくるかもしれません。「基部に結合されたクリップ」のような例において、特許は、ある物品が他の物品に結合するあらゆる方法を記述しなければならないのでしょうか?明細書は、接着剤、ファスナー、ジッパー、等の具体的な方法を達成するモノを開示しなければならなくなるのでしょうか? 現状の法律はそのような網羅的なリストを要求していませんし、そのような極端な開示を求めるような判決にはならないと思いますが、どのような開示が適当なのかについて何らかの見解が示されるかもしれません。

商標案件:米国の商標法は海外でどの程度適用されるか?(Abitron Austria GmbH, et al. v. Hetronic Int’l, Inc.)

最高裁は、米国商標の所有者が外国での販売に基づく商標権侵害の損害賠償を請求できるかどうかも判断します。商標は、多くの知的財産権資産と同様に地域性(territorial)があります。米国商標は通常、米国内でのみ消費者の混同から保護されます。しかし、第10巡回区控訴裁判所は、被告の行為が、「そうでなければ最終的に米国に流入するはずだった数千万ドルの海外売上を(原告から)流用した」と認定しました。そして、米国を拠点とする侵害が海外売上に与える実質的な影響に基づき、商標権者に損害賠償を与えた連邦地裁の判決を支持しました。

まとめ

どちらもアメリカの知財に大きな影響を与えかねない問題に関する最高裁での審議なので、今後も注目して、判決が出たときは詳しく解説したいと思います。

参考文献:SCOTUS Catches IP Fever

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