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STANDARD ESSENTIAL PATENTS IN THE UNITED STATES

規格必須特許(Standard Essential Patent(SEP))は特許においても特殊な位置づけです。

業界で共通の規格を用いる際にSEPが問題になることがあります。SEPは、通常の特許ライセンスとは異なり、FRAND(「公平(Fair)、合理的(Reasonable)かつ非差別的(Non-Discriminatory)」条件のもと、ライセンスする必要があり、SEPに関わる場合、注意が必要です。

  • 規格必須特許(Standard Essential Patent(SEP))とは?
  • ロイヤリティ計算方法
  • SEPに関わる訴訟のポイント
  • 日本のSEPマニュアルの紹介

ウェビナーのまとめ

規格必須特許(Standard Essential Patent(SEP))に関する基礎知識を説明していきます。

今回カバーするトピクは以下の4つです。
1.規格必須特許(Standard Essential Patent(SEP))とは
2.規格必須特許(Standard Essential Patent(SEP))ライセンス交渉のポイント
3.規格必須特許(Standard Essential Patent(SEP))訴訟のポイント
4.日本の規格必須特許(Standard Essential Patent(SEP))ガイドライン

規格とは、互換性を促すものです。

例えば、電源プラグのように各国で規格がばらばらだと、消費者は使う国の規格にあったものを使う必要があります。しかし、USBチャージャーのような、国際規格のものは、世界中どこでも規格を気にせずに使うことができます。

例えば、5Gなどの次世代通信に関する規格を決める場合、様々なレイヤーの企業が関わるため、規格を決める作業が極めて複雑になります。

規格にもさまざまなものがあり、規格を決める団体によって、規格を決めるプロセスやポリシーが異なります。

規格は、参加している企業からの技術提供によって成り立っています。つまり、自社の技術を規格として採用してほしい場合、その技術の詳細に関して同業者(つまり、競合他社)に開示する必要があります。

実際に決まった規格は、このような技術マニュアルとして公開されます。

知財に関する開示責任

規格団体は通常、参加企業に関連する知財の速やかな開示を求めます。

このような知財に関するポリシーは、対立する特許権者の権利と規格参加団体が必要な技術にアクセスする必要性のバランスをとる役割を果たしています。

知財に関する開示責任

例:すべてのコミティーメンバーは、メンバーシップと参加の条件として、潜在的な必須特許の開示と、すべての潜在的なライセンシーへのRAND条件における必須特許のライセンスをオファーすることに同意する。

RAND条件:合理的(Reasonable)かつ非差別的(Non-Discriminatory)

RANDの目的

RANDとは合理的(Reasonable)かつ非差別的(Non-Discriminatory)な条件で行われるライセンスです。

特許化された規格必須技術へのアクセスを可能にする

Patent Hold-upを回避する(Patent Hold-upとは、特許権者がRAND以上のロイヤルティーを請求することで、参入企業を制限する行為
ロイヤルティーstackingのリスクを軽減:ロイヤルティーstackingとは、商品を商業化するために複数のロイヤルティーを支払う必要がある状態
それと同時に、Patent hold-outをさせないようにする。Patent hold-outとは、潜在的なライセンシーが、規格を採用するが、その規格の必須特許のライセンスをしないこと。

規格必須特許の権利者の十分な補償
合理的なロイヤルティーは、特許にされた技術に対する商業的な価値にとどまるべきであり、規格に採用された際の経済的な価値は考慮されるべきではない。
また、補償は、発明を十分促すようなものであり、規格に参加してもらうことを促すものである必要があります。

規格必須特許(Standard Essential Patent(SEP))ライセンス交渉
一般的に、ポートフォリオのライセンス交渉、場合によってはクロスライセンス契約もある
当事者は誠実に交渉に臨むことが求められる
返答は適宜、遅れるのは好ましくない
積極的な議論(クレームチャートの交換や特許を議論するための会議など)
不合理な立場をとらない

もし誠実な交渉ができないで、訴訟になった場合、特許の権利行使不可、差し止めなど、不利な状況に陥る可能性もある。

RANDの計算方法
明確なルールは少なく、判例も発展途上
CAFC(知財高裁)は、FRANDの問題は、特許に関わる特定の事実の状況によって変わるという見解を持っている。
計算における仮定
賠償金に関する仮定の交渉では、特許は有効で、侵害されていると仮定して進められる
多くのFRAND交渉は訴訟以前に行われるものなので、裁判においてどの特許が必須特許で、有効と判断されるかわからないまま交渉の場につかなければならない。

ロイヤルティー計算方法の1つ:Bottom-upアプローチ
代替を採用する費用以上のお金をライセンス取得に払わないであろうという考え方
計算方法
規格に採用されるであろう代替技術を採用した場合のコストを算出
その算出コストを侵害品の数で割ることで、ロイヤルティーを計算

証拠
代替技術の存在や適正がなかったり、情報が足りない場合がある

ロイヤルティー計算方法の1つ:Bottom-upアプローチ
SSPU(smallest saleable practicing unit 特許を使用している最小販売可能商品)の値段の平均からスタート
値段から利益を計算
収入から、知的財産のロイヤルティー支払い用の収入の一部を除外
利益を一定の定数で割る
一定の定数=(今回問題になっている規格必須特許の数/規格必須特許の全体数)
このような機械的な計算方法は反論されることがおおい
裁判所は、規格必須特許のすべてが同じ価値であるような仮定を嫌う傾向がある

ロイヤルティー計算方法の1つ:比較レートアプローチ
比較できそうなライセンスがある場合に適用可能
RAND補償が比較可能なライセンスのロイヤルティーをベースにして計算されることがある。その比較対象のライセンスにどのような計算方法が使われたとしても、結果として、その対象ライセンスにおいて、ライセンサーとライセンシーの同意が得られたという事実から、比較対象のロイヤルティーをベースにしてRAND補償が計算されてもいいという考え方。

SEPロイヤルティー計算の問題点:分担の問題
特許で守られている特徴は、規格の他の特許で守られていない特徴から分担されなければいけない。
裁判所が特許侵害の賠償を侵害品の対象部分に限定して計算するように、規格に対しても、SEPの侵害による賠償も、限定して行う必要がある
例外:もし特許で守られている特徴が、規格のすべての価値を示すものの場合、このような分担は必要ない。
ロイヤルティーは、特許で守られている特徴に対する価値にとどまるべきであり、規格に採用された際の経済的な価値は考慮されるべきではない。
この原理は、RAND条件が求められる特許だけでなく、SEP全体に適用される考え方。

ロイヤルティーをかける対象の特定
SSPUの問題。なにがSSPU(smallest saleable practicing unit 特許を使用している最小販売可能商品)なのかということ。ロイヤルティーの計算は、対象商品の全体からでなく、SSPUからロイヤルティーを計算するべき。

全体市場価値ルール:
しかし、対象商品の需要が特許で守られた特徴によるものだと証明できれば、ロイヤルティーの計算対象を対象商品にすることができます。

分担はいつも必要ではない
すでにRANDレートについて事前に分担が明記されていれば、追加で分担を再審議する必要はない。
判例:
訴訟の前に、当事者同士がライセンス協議。
Ciscoは$0.90 per unitを提示したため、それが最低基準になり、CSIROは、$1.90 per unitを提示したため、それが最高基準になった。
この訴訟では、交渉時にすでにこの特定の特許に関するライセンスに限定されていたため、分担は必要ないとの結論に至った。

SEP訴訟
ライセンス交渉が失敗した場合:
RAND条件により、誠実な交渉ができていた場合、差し止めのリスクはない
裁判所が特定の特許に対してFRANDレートを決定することができる
裁判所がポートフォリオレベルでのFRANDレートを設定できる
その他のSEP関連訴訟
Over declaration(過剰宣言)
速やかでない情報開示
比較可能なライセンス

最初のTop-downアプローチ判例
背景
訴訟は、中国メーカのTCL社の携帯電話の売り上げとEricsson社の2G,3G,4Gに関する特許に関わるものでした。
2007年のライセンス更新を協議しているところだった
Ericsson社はTCLを特許侵害で提訴、TCLはEricssonをFRAND条件違反で提訴、ポートフォリオレベルでのロイヤルティーレートを裁判所に求める。
裁判所は訴訟差止命令を行い、10日間のベンチ公判を行いました。

FRANDロイヤルティーは、特許で守られている特徴に対する価値にとどまるべきであり、特許で守られた技術が規格に採用された際の経済的な価値は考慮されるべきではない。つまり、ロイヤルティーは、製品に加えられた特許技術の上乗せ価値がベースになるべきであり、規格に採用された際の追加的な価値は考慮されるべきではない。

ロイヤルティーStackingを回避するため、裁判所はTop downアプローチを採用。
規格に適用されるSEPの集計をSEPの公になっている統計などを参考にして計算
裁判所はEricsson社の2G, 3Gは5%、 4Gは6%から10%という表明を参考にした。
分担を行い、Ericssonへの割合を計算
各規格に関わる全SEP特許の数を把握
Ericssonの割合を計算

次の問題、Ericsson社のOver declaration
オプションとされている特許の排除
権利期間満了済みの特許の排除

地域によって特許の強さは異なる
非差別的とは、どのような業者であっても、違いがあってはならない
FRAND違反によって、市場の競争が影響する必要はなく、1つの競合他社が影響するだけで十分。
裁判所は、携帯電話をベースに採用(しかし、電話はSSPUではない)。

日本の標準必須特許のライセンス交渉に関する手引きの紹介
FRANDに関わるライセンス交渉の枠ぐみを提供
日本特許庁が特許の必須性を判断できる
世界中の判例や市場参加企業からのコメントにより、ガイドを作成

日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国の関連判例の概要説明
法的な効力はないが、今回紹介してきた様々なロイヤルティーレートの計算方法についての見解
差止は例外
ロイヤルティーStackingに対する賛否両論
潜在的なライセンシーは、特許を無効にする権利を維持しながら、ライセンス交渉ができる

規格とSEPは必要ですが、悪用されるべきではない

RANDの計算方法は1つではないが、合理的(Reasonable)かつ非差別的(Non-Discriminatory)な条件で行われる必要がある。

広い視野が大切(ポートフォリオ、グローバル)

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