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Open Legal Webinar シリーズ

ブランド力を高める知財

ブランド力を高めるために、知財を有効活用していますか?

どのような種類の知的財産をどう使うのか?アメリカの知財を中心に、知財の種類や性格、特性を学んで、会社の事業にあった適切な知財活用を進めていきましょう。

  • 知財の種類と違い
  • 複数の知財を組み合わせる合わせ技
  • ブランドを複数の知財で守るときのポイント
  • ブランド戦略のために今からできること

ウェビナーのまとめ

講師紹介

Trusted Counsel (Ashley) LLCの創設者であり、マネージングパートナー。保護、収益化、ライセンス、商業化なども含めた幅広い知財戦略を提供している。知財の他にも、買収・合併、ジョイント・ベンチャー、投資、コーポレートガバナンスなどの幅広い会社関連の法律業務に携わる。

Tammy Tanner (タミー・ターナー)

Trusted Counsel (Ashley) LLCの弁護士。スタートアップ企業に関わる様々な法律関連業務に携わる。商標の申請や保護にも詳しい。

Trusted counsel LLCの特徴:

知財と会社法関連業務を専門にしているので、知財に力を入れている企業の法律面をサポートすることを得意にしている。

ブランド戦略

長期的なプランが必要で、事業のあらゆる点に関わり、戦略自体は顧客のニーズ、感情、競争環境などにより変わってくる。今回話す様々な種類の知財を組み合わせるとより強いブランドを確立できる。ブランド戦略は、いい製品・サービスがあってですが、その事業の価値をより高めるためにはブランド戦略を行い、競合他社の参入を難しくして、ユニークな存在になる必要があります。ブランドは会社や事業を大きくしていくためには必須のもので、企業価値の評価や投資の決断もブランド力に関わることが多くなってきています。

ブランド保護

特定のブランドについてより多くの種類の知財を得られれば、その分、他社がコピーしづらい環境が作れます。たとえ、一部の知財、例えば特許が無効になってしまっても、他の知財があれば、大切なブランドに対する保護が全くなくなってしまうというリスクが避けられます。

ケース・スタディ

THE RIDE という企業を例にとって、知財を活用したブランド戦略を考えて見ましょう。
THE RIDEは、ニューヨークでシアター感覚でバスツアーを体験できる新しい体験型のエンターテイメントを提供している会社です。NHKでも取り上げられていて、日本からのお客さんも大変多いとのことです。

THE RIDEのバスは、商標、デザイン特許、一般特許で保護されています。(詳しくは後ほど)。そのユニークなバスに乗って、ツアー参加者は、ニューヨークの街を観光します。その名所のところどころに、パフォーマーがいて、様々なストリートパフォーマンスをしてくれます。

THE RIDEの成長

今回、Webinarの講師を担当してくれたTrusted CounselはTHE RIDEをサポートして6年になります。元Broadwayの演出家がTHE RIDEを起業し、このようなニューヨークの街全体が劇場みたいな場を作り出しました。このようなエンターテイメント市場の経験から、THE RIDEの創業者は知財の重要性を起業したときからよく理解していて、起業時から知財の保護とブランド戦略を重要な事業として捉えていました。THE RIDEの創業者は、ユニークなバスを発明し、特許にもなっています。Trusted Counselは、すでにTHE RIDEが持っている知財を活用し、さらに追加で必要な知財を特定し、ブランド戦略を助け、ニューヨークだけでなく、他の都市、海外展開も見据えた戦略のアドバイスをしています。ただのバス会社ではなく、ユニークで楽しい体験ができるツアーを提供するエンターテイメント会社として成功していけるよう、日々協力し合っているとのことでした。

知財の保護

  • 各種の知的財産の登録
  • 社内で一貫して知財を使う
  • パートナーやライセンシーがいる場合、同じように一貫して使うよう要求する
  • 必要に応じて権利行使を行う。侵害している会社が小さいなどの理由で権利行使を行わないと、後で権利行使を行おうとした際に問題になることがある。
  • 企業機密を特定する。早い段階で、企業機密にする情報を他の知財と分けておくと後々の作業がスムーズになる。

iPhoneブランド

アップルが販売しているiPhoneはブランドが確立しているいい例です。アップルはCMなどのマーケティングにも優れていますが、知財の面から最近のAnimojiのCMを見てみましょう。このAnimojiのCMはどのような知財で守られているのでしょうか?

iPhone広告で必要なブランド要素

著作権

  • 広告で使うAnimoji
  • 音楽(ライセンス)
  • Animojiのアニメーション(リズムに乗った動き、歌い方など)

商標

  • 製品名(iPhone X)
  • 会社ロゴ(最後に出るアップルのロゴ)
  • バンド名
  • 外見(トレードドレス)

知的財産の種類

  • 一般特許
  • デザイン特許
  • 商標
  • トレードドレス
  • 著作権

一般特許

発明に関わるもの。アメリカでは特許で守れる発明の範囲が広く、新しくて便利なプロセス、機械、生産品、ものの組み合わせと定義されている。しかし、抽象的概念、自然法律、自然現象は対象外。
有効期限は出願から20年
出願主義(日本のシステムに似ているが、公開・販売しても1年以内だったら特許が取得できるグレースピリオドなどを設けている)
特許の仕組み:発明の促進のため、特許権者に限定的な独占権を与えるが、そのかわりに、他社が改善できるよう特許情報を公開するという仕組み

THE RIDEの例

THE RIDE特有のバスの形状は一般特許で守られています。

US8284327 Vehicle for entertainment and method for entertaining

席が段差になっていて、道側がよく見えるようにガラス張りの側面を向いている。ちなみに番号200と250はガラスの窓で外がよく見られ、パフォーマンスをよく見られるようになっている

一般特許はアメリカだけではなく、海外でも出願されています。
PCT出願で各国に出願。日本、ヨーロッパ各地にも出願中。

デザイン特許

機能する製品の見た目を保護(スカートはダメ、スニーカーは大丈夫)
有効期限は登録から15年

アメリカにおけるアップルv.サムソンの特許訴訟では、アップルのデザイン特許が活躍し、アップルに有利な訴訟展開になった。

THE RIDEの例

バスの内装
USD628133 Bus interior

バスの外見
USD617236S1 Bus exterior

デザイン特許はアメリカだけではなく、海外でも出願されています。
日本、ヨーロッパ、シンガポールなどに出願。

商標

言葉、フレーズ、シンボル、デザインなど製品の提供先を特定するもの
歴史的に取引に使われるマークを保護するために商標が誕生
実際に使用していなくても、「使う意思のある商標」として出願が可能
企業名である必要はない
商用使用と維持費の支払いで、有効期限は無期限

ブランド戦略ができていない例

Duck tour – ボストンが発祥の地だったが、最初にツアーを行った企業はブランド戦略を怠り、他の会社が他の観光地で真似をし始める。他の州で、ツアー中に人身事故があり、関係のないボストンや他のDuck tour業者の事業に悪影響を及ぼした。

トレードドレス

商品のパッケージや商品の外見の特徴が製品の提供元を示すもの

トレードドレスを認めた訴訟
Two Pesos, Inc. v. Taco Cabana, Inc.

トレードドレスの例:

マクドナルドのゴールデンアーチ
コカ・コーラのグラスボトル

商標と同じように、商用使用と維持費の支払いで、有効期限は無期限

THE RIDEの例

アメリカにおける商標
社名
社名ロゴ
バスの外見(中にいる人も含めて保護が認められているという点がユニーク)

著作権

著作物の原作を守るもの
芸術と関連する
書物全般が保護の対象(ソフトウェアのコードも対象だがソフトウェアに対する保護はあまり期待できない)
有効期限:著者の生涯+少なくとも70年

THE RIDEの例

著作権:

台本
音楽(ライセンス)、コスチュームのデザイン、証明デザインなど

知財に関わる契約:

公道でのパフィーマンスのために必要な契約
VR会社とのマーケティング契約

考察

消費者向けv.ビジネス向け?

ケース・スタディとして見てきたTHE RIDEは消費者向けのサービスを展開している会社です
しかし、ブランド戦略は、ビジネス向けの事業でも大きな効果があります。
例えば、インテルやXEROXなどのB2Bでもブランド戦略に長けた会社が多数あります

国内からグローバルブランドへ

国内の市場から成長して、その後にグローバルブランドに成長する戦略を考えるのも可能だが、リスクが伴う。(競合がすでに海外にいる、名前、知財が他社に取得されてしまっている、メッセージのブレなど)
THE RIDEのように世界展開を見据えて最初からグローバル戦略をすると、世界展開がズムーズにできる。

ブランド戦略の手順

  1. ビジネスゴールの特定
  2. 市場調査
  3. 現地コンサルタントを雇う(現地の習慣や文化を考慮)
  4. 知財の特定
  5. 知財戦略(合わせ技)
  6. 社内で一貫して戦略を実行する

ポットキャスト

アメリカでのビジネス、企業など様々な点のついて、Trusted Counselのクライアントを招いて話し合っていくポッドキャストです。アメリカのビジネスを内部から知るいい機会だと思います。詳細はここから。

Q&A

Q1. RIDE者はスタートアップ会社であると考えます。スタートアップが国内・海外特許、デザインパテント、商標を出願するには費用が高額になります。日本では多額の資金を集めることは困難と思います。米国ではどのようにしてスタートアップが特許等の費用を集めているのでしょうか。また、投資をしてもうらうためにどのような働きかけをしているのでしょうか?

A1. 最初の資金は、家族・友達・クレジットカードという人が多いとのことです。リスクは高いですが、このようにスタートして大きくなった企業もたくさんあります。また、鍵となる発明の仮出願後に、投資家等に話して融資を受けるという方法もあります。また、エンジェル投資家などにコンタクトを取って、投資をしてもらうことも可能です。

Q2. トレードマークとトレードドレスの違いについて、まだ日本では認識が進んでいないのですが、企業内で分かりやすく「トレードドレスとは何か」をエグゼクティブ等に伝えるための良い方法があったら、教えてください。

A2. 例をあげて説明することが最も効率的でわかりやすいと思います。コカ・コーラのボトルはいい例だと思います。コカ・コーラの名前は商標で守られていて、ボトルの形はトレードドレスで守られている。コカ・コーラのボトルにたとえコカ・コーラの名前やロゴが明記されていなくても、コカ・コーラのボトルだと認識できる。それがトレードドレスだということです。

他の例としては、アップルです。アップルのロゴは商標で守られていますが、アップル特有の最小限のパッケージングはトレードドレスで守られています。このような例をあげると、知財の知識がないエグゼクティブもトレードドレスがよく理解できると思います。

Q3. 仮出願の費用は、弁理士費用を含めていくらぐらいで出来るのでしょうか?

A3. 出願費用は$1500前後です。仮出願はほとんどの場合、発明者本人が行うので、弁理士を雇わないケースが多いです。

Q4. “Trade dressについて
TradeDressは包装の外観等が有名(著名)になった後で、初めて登録できるのでしょうか?
(著名性が登録要件ですか?)”

A4. トレードドレスも商標と同じで、市場に流通する前に出願は可能です。これはintent-to-use applicationとして出願します。その後、登録するには、実際に市場で使っているということを証明する必要があり、案件によっては、他のトレードドレスと差別化される点はどのようなものかなどの主張が求められる場合もあります。

Q5. どこまで知的財産の保護が必要か考える場合、どのようなことを考えますか?(コスト、競合他社など)

A5. 高い商品の場合と安い商品の場合のマーケティングは異なるので、そのターゲットとする顧客に伝わるようにマーケティングを行い、それに見合った知財保護が必要。また、競合他社が似た製品をすでに発売している場合、そのような商品と自社製品に混乱が起きないよう、商品のユニースな面を強調したり、名前をユニースなものにして差別化し、自社製品が目立つよう工夫が必要。そのような差別化要素は適切な知財で守る必要がある。

また、知財の予算ですが、初期の場合、特許と商標に集中するべきです。また、知財の権利化には時間がかかるので、予算も3~5年のスパンで考えてもらえるといいと思います。

Q6. どのタイミングでブランド戦略の相談をコンサルにするべきですか?

A6. 早いほうがいいですが、少なくとも事業を始めた1年以内に一度相談することをおすすめします。1年以内の場合、知財の出願に有利なので、できることが増えます。コンサルを受けることで、どのような事柄を知財で守ったらいいのか、その特定方法と保護方法が明確になります。

Q7. Trusted Counselではどのような知財戦略サービスをおこなっていますか?

A7. 既存のビジネスをベースにした知財戦略、各種の知財出願と国外における権利化手続き、ビジネスが成長し、市場が拡大していく中で、適切な知財戦略のアドバイス。グローバル化に伴う知財戦略。ケーススタディで使ったTHE RIDEに対しては、追加の知財保護として、トレードドレスを提案し、出願から権利化までをサポート。

また、投資家とのマッチングなども積極的に行っています。

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