なんで分からないの?を乗り越えよう。異文化交流のポイント

今回のウェビナー「なんで分からないの?を乗り越えよう。異文化交流のポイント」は、アメリカで活躍する日本人のための異文化コミュニケーションに関する講座です。人とのコミュニケーションは難しいですが、特にアメリカは多民族国家なので、「伝えたいことを伝える」ことに思いのほか苦労することが多いんじゃないでしょうか?そこで今回は、通常の法律に関するウェビナーではなく、異文化コミュニケーションに関する講座を開催しました。参加者からの反響もよく、アメリカに暮らしている日本人の共感することがうまくまとめられています。問題を浮き彫りにするだけでなく、解決方法も提案しているので、ぜひ今泉さんが紹介しているテクニックを参考にしてみてください。

 

講師をお願いした今泉江里子さんは、業研修、エグゼクティブコーチング、Eラーニング製作を主な業務とするWaterview Consulting Group, Inc.のCEOで、異文化コミュニケーション関係のセミナーを全米各地で頻繁に行っています。また、コンサルティング会社IZUMIビジネスソリューションズLLCも運営していて、そこでは、主に海外技術移転、海外市場開拓事業を手がけています。日米の証券業界、コンサルティング業界で15年以上の経験を積んだ後にアメリカで独立・起業したバイタリティあふれる女性です。

 

上記の録画版のウェビナーに加えて、企画から携わった野口の個人的な感想や考察を交えて、今回のウェビナーをまとめてみました。

 

日米ビジネス文化比較

 

プロセスを評価する日本人と結果を求めるアメリカ人、そんな価値観の差がコミュニケーションのときのストレスになっているんじゃないか。紹介された以下の研究結果を見ても、日本人とアメリカ人の価値観の違いがよくわかると思います。

 

 

あと面白かったのは2番めの個人主義(IDV)の点で、アメリカ人は個人主義、日本人はチームプレーという結果を紹介するだけでなく、アメリカ人はファミリー重視(仕事は個人主義、でも家族とはチームプレー)、日本人は仕事重視(仕事はチームプレー、でも家族に対しては個人プレー)という今泉さん独特の鋭い視点がなるほどと思いました。

 

4番目の不確実性回避に関しては、世界的に見て特に日本人は特に不確実性回避を優先するらしいので、そのことを意識しながらグローバル社会で働くといいのかなと思いました。

 

また、アジアは長期思考でアメリカは短期思考という、世界的な地域差も知れてなるほどと思いました。

 

インド、中国、韓国との比較

 

アメリカには様々な人種、特にインドと中国、韓国の人が多いと思うので、同じような対比をしてもらいました。下のグラフを見ても、それぞれの国によって全然価値観が違いますね。

 

 

この比較でわかることは、世界的に見て「日本人が変わっている」ことだと思います。グローバル社会では、この世界観で自分たちを見直してみるというのが大切なのかなと思います。

 

ライブセミナー参加者も、日本人は、まじめ、時間厳守、確実に仕事をこなすなどのいい面も多くあると同時に、主張しない、押されやすい、すぐに謝る、相手に完璧を求めるなどのネガティブな面の両面をシェアーしてもらいました。みなさんも納得するところが多いのではないでしょうか?

 

 

今回紹介してもらった地域による組織のスタイルを頭に入れて、その地域の人と話すとコミュニケーションが円滑に進みそうですね。あと、例えば、お酒の席での話題としても面白いんではないでしょうか?特に違う地域の人と話すと盛り上がるかもしれません。

 

 

今泉さんおすすめのコマツ元社長の中村健一著「ビジネスに日本流、アメリカ流はないーグローバルマネージャー入門」からの日本人とアメリカ人の長所・短所の比較も重宝しますね。個人的に面白いと思ったのは、日本流でもアメリカ流でも結果もかかった時間も同じという研究結果です。だとしたら、協力してプロジェクトを行うときには、日本とアメリカのいいとこ取りをして、より良い結果を短時間で取れるようにしたいですね。

 

 

いいとこ取りをするポイントは、日本流とアメリカ流を理解することだと今泉さんに教えられた気がします。計画は日本流、行動はアメリカ流とプロセスを分けて考えたり、評価を減点方式にしない、褒めるとか意識と行動を少し変えるだけでアメリカ人との関係がだいぶ変わるのかなと思いました。特に日本企業では、マネージャーとして日本人が来て、アメリカ人の部下を持つことが多いと思いうので、加点方式の評価とか褒めるとかは特に有効な手段だと思いました。

 

アメリカ人の性格は、文化に大きく影響されているので、多民族性、教育、コミュニケーションの方法がよくまとまっている動画を参照してぜひ参考にしてみてください。

 

 

 

 

アメリカ人の転職率の高さはやっぱり高いですね。今の世代は特に顕著だと思います。

 

 

阿吽の呼吸、空気を読むことが前提の日本人とはっきり話さないとわからない日本人がよくわかります。日本人はもっと言葉にすることを意識しないといけない。黙っていても誰もわかってくれないという前提で、今泉さんいわく「変だと思ったら発言する」という訓練が必要だとのことです。日本の文化ではタブーなことかもしれませんが、グローバル社会で活躍するには、積極的に「言う」ことを意識して行動しないといけないと思いました。

 

ここで、日本人あるあるのYESの意味

 

No。の場合は、”Let me think about it”などを言いましょう。

 

1回目のQ&A

 

1.駐在員としての日本と現地子会社の板挟みの問題。日本のグローバル化を進めていくには、アメリカでは日本流じゃなくて、アメリカ流の仕事の仕方が必要と主張しないと行けないとのことでした。

 

2.指示をしてもやってくれない。今泉さんいわく日本人の指示は曖昧。アメリカ人には何をやってほしいのか、いつまで、やってほしいのかを明確にどうやってほしいのかを自分でわかって、正確に伝えることが大切になります。ホウレンソウがないアメリカでは、わからないとやらないので、正確に指示を伝えること、わからないようだったら何度も伝える姿勢が大切とのことです。

 

アメリカ人との働き方

続いて、アメリカ人あるある。

 

 

ここで浮き彫りにされるのは、今泉さんいわくコミュニケーション不足です。このアメリカ人あるあるは、コミュニケーションの仕方次第でだいぶ改善されるとのことです。アメリカ人に遠慮しないで言葉にする。その訓練が大切とのことです。

 

 

日本人が陥る罠に気をつけて、アメリカ人とコミュニケーションを取りましょう。このアメリカ人との働き方は、上の「日米ビジネス文化比較」を理解した上での応用だと思います。やっぱりギャップを理解した上で、対策を取ることが大切なんだなと思いました。

 

成功するプロジェクトマネジメント

 

アメリカだと様々な人と協力してプロジェクトを行うことが多いですが、相手がどうこうというよりもまずは、個人の忍耐とセルフコントロールという点が面白いなと思いました。リーダーシップは、自分と向き合うことから始まるんですね。

 

 

特に会わないで、リモートでプロジェクトを進めなくてはいけない場合は、もっと大変です。「何か変だなぁ」と思ったら、すぐに直接連絡して「話す」ことが大切だと教えていただきました。

 

 

日本のホウレンソウ(報告、連絡、相談)は素晴らしいですが、アメリカにはないです。日本人は情報を共有するのが得意ですが、文化的な背景からアメリカ人にはホウレンソウのコンセプトがないそうです。なので、アメリカでは、まず現地の人にホウレンソウのコンセプトを教えるところから始める必要があります。

 

 

日本では恥ずかしことも、アメリカでは言う必要がある。はっきりとビジョンを示して、それぞれがするべきことを明確にすることが大切ですね。

 

メールでのコミュニケーション

 

日本人の場合、代名詞を使いすぎない

You would better do somethingはアメリカでは命令口調なので、you want to do it… など表現も気をつけましょう。

 

セミナーで紹介されたメールのサンプルには、今回学んだことが活かされているので、その部分の動画を見て、参考にしてみてください。

 

 

メールでのコミュニケーションのポイントもよくまとまっているので、今後のメールベースのコミュニケーションに活かしてみてください。特に、バックグラウンドを説明することは使えるなと思いました。

 

2回目のQ&A

 

1.自己主張をうまくするコツは? 自分でシミュレーションする。自分で考えて、書いて、英語にして、鏡の前で練習する。努力が大切ですね。特に、人を解雇する時、議論する時、誤解を解く時などの難しい場面では、準備が特に大切になってきます。

 

2.褒めるのが難しい。 これも練習しましょう。微笑みを作って”You did a great job”と言って、具体的に何が良かったのかを説明できるようにすることが大切です。

 

3.プロジェクトの進め方。 変だと思ったら一旦立ち止まり、目的を再確認して、チームメンバーと確認し直す。目的が変わってきている場合も多いので、全体で確認をすることが大切です。わかっていない人も含めて、全体で認識の一致を持つことが大切です。自分で考えて、書いて、英語にして、鏡の前で練習する。プロジェクトを進める上でも準備が大切です。

 

4.自己主張の仕方。 まずはアメリカ人の言ったことをまとめて、その後で自分の意見を言うのはどうでしょうか?そうすると結構聞いてもらえるそうです。

 

5.異文化交流に関するおすすめの本。コマツ元社長の中村健一著「ビジネスに日本流、アメリカ流はないーグローバルマネージャー入門」

 

6.意見を言っていない自分から変える方法。 何も言わないのは楽だけど、アメリカでは評価されないので、日常のことから会話に入っていく努力をしましょう。

 

 

まとめ

 

今回のウェビナーはどうでしたか?日々感じているギャップがうまくまとめられていたのではないでしょうか?そのギャップはなくならないので、ここで学んだコミュニケーションスキルを使って、日本人のいいところとアメリカ人のいいところを合わせられるようにしたいですね。