Preambleは、特許権者の前訴および審査履歴における主張に基づいて制限されている

連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、過去の訴訟や審査履歴からPreamble(前文)にある用語の解釈を前提としたクレームの場合、クレーム範囲はPreambleによって制限されるとしました。

判例:Data Engine Techs. LLC, v. Google LLC, No.21-1050 (Fed. Cir. Aug. 26, 2021)

DET社は、Google Sheets製品が、3D電子スプレッドシートを表示およびナビゲートするためのシステムおよび方法に関する「Tab特許」の特定のクレームを侵害していると主張。しかし、連邦地裁は、前文にある「3次元スプレッドシート」という用語が限定的であると判断し、この解釈に基づき、Google Sheetsはセルの位置を3次元的に定義していないため、非侵害と判断。

CAFCは、DETが以前の控訴でこの用語を特に重要視していたことから、前文は限定的であると判断し、これを支持。DETは、クレームは3次元スプレッドシートの改良に向けられた特許適格の主題であると主張し、前文の用語に特許性の重みを置いていた。

また、CAFCは、出願人が審査中に、「3次元スプレッドシート」という部分を強調し、先行技術の拒絶反応を克服したことにも言及。よって、CAFCは、前文にある用語の解釈を前提とした非侵害の連邦地裁の略式判決を支持しました。

参考文献:A Preamble Held Limiting Based on the Patentee’s Arguments in a Prior Appeal and File History

ニュースレター、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

特許出願
野口 剛史

Relevant Prior Art Initiativeによる一部IDS提出義務の軽減化

USPTO では、Access to Relevant Prior Art Initiative (“RPA Initiative”) という特許出願の審査に必要な先行例文献などの情報を自動的に審査官に提供する仕組みを11月1日から試験的に一部のArt Unitsで導入します。この取り組みにより、continuing application に対する特許出願人の一部IDS義務が緩和されます。

Read More »