特許権者有利の裁判地としてWDTXが注目されていますが、WDTXで訴訟を起こすためだけにWDTXの管轄内に企業を作ったり、特許の権利を一部移す行為は、「不適切」とみなされる場合があります。
In re Samsung Elecs Co., No.2021-139 (Fed. Cir. June 3, 2021)において、米連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、係争中の訴訟をWDTXからNDCAに移送することを命じました。しかし、連邦地裁は、申立人の1人であるIkorongo TexasがWDTXにおける「地域内での特許権」を行使する権利しか有していないため、NDCAで訴訟を起こすことはできなかったとし、CAFCの命令に従わず、移送を拒否。
しかし、CAFCは地裁の判断に同意しませんでした。
実はIkoronogo Texas社は、WDTXで訴訟を起こす前の月に、WDTX地域内のテキサス州の一部の郡にのみ、主張された特許の対象となる地理的権利を所有する会社として作られていました。また、Ikorongo Texas社は、WDTXで他のビジネスを行っていませんでした。
CAFCは、このような操作がなければ、もうひとりの申立人であるIkorongo Tech社単体で、28 U.S.C. § 1404(a)に基づき、より利便性の高いNDCAで訴訟を起こすことができたと判断。
CAFCは、Ikorongo Texas社は訴訟前の裁判地操作を目的として設立されたものなので、地裁の判断は適切ではなく、NDCAへの移送の申し立てを認めるよう連邦地裁に指示しました。