Post-Grant Reviewは、発行されたばかりの特許に対して様々な理由で異議を唱えることができる便利なツールですが、人気がありません。その理由として禁反言(estoppel)が挙げられます。
PGRの申立は、特許が発行されてから最初の9ヶ月間に提出しなければなりませんが、101条に基づく特許適格性、102条又は103条に基づく先行技術を理由にした無効性、112条に基づく記述又は実施可能要件に基づく無効性など、あらゆる無効理由を主張できます。
そのため、先行技術文献に基づく§102及び103の特許性の異議に厳密に限定されているInter Partes Review(IPR)よりも、多彩な主張ができます。
しかし、月平均で比較するとPGR5件に対してIPR122件という大差があります。
この人気の差は、禁反言(estoppel)に原因があることが考えられます。
禁反言(estoppel)は、IPRやPGRなどの付与後の特許異議申立戦略において重要な考慮事項です。 PGRにおける最終判決がなされた場合、「審査中に提起した、または提起することが合理的に可能であった根拠」に基づいて地方裁判所で無効性を主張することが禁じられてしまいます。 35 U.S.C. § 325(e)(2)。
このPGRの禁反言規定の文言は IPR 禁反言と同じですが、PGRとIPR の範囲が異なるため、PGR 禁反言の可能性は広範囲におよびます。
このように、PGRの広範囲の無効理由が後に起こるであろう訴訟における禁反言のリスクを高めるため、逆にその活用を阻害しているということが考えられます。