2022年8月9日、米国特許商標庁(PTO)は、公開プレゼンテーション “Subject Matter Eligibility Under 35 U.S.C. § 101: USPTO Guidance and Policy “を行いました。特許適格性(Patentable subject matter)はソフトウェアとバイオテクノロジーの出願において特に気をつけないといけないものですが、今回のプレゼンは特許庁の特許適格性に対するアプローチがよく分かるものになっています。
プレゼンの構成
プレゼンテーションの中で、PTOは、その目標は、適格な主題を特定し、可能な限り35 U.S.C. § 101に基づく特許出願を拒絶しないことであることを示しました。
ただし、主題の適格性は、Bilski v. Kappos (2010), Mayo Collaborative Servs. v. Prometheus Labs, Inc. (2012), Association for Molecular Pathology v. Myriad Genetics, Inc. (2013), Alice Corp. v. CLS Bank International (2014) で示された最高裁判所の判例に従って決定しなければならないことにも言及。
そして、最後に主題不適格なクレームをいかにして適格な主題を包含するように書き直すことができるかを示すいくつかのバイオテクノロジーの事例を提示しました。
2ステップの特許適格性の分析の細かな解説
PTOは、MPEP§2106の2ステップの主題適格性フローチャートの詳細な説明を行い、ステップ2Aの2つのプロング間の違いを強調しました。最初のプロングは、クレームが適格性に対する司法上認められた例外を記載しているか否かを評価するものです。クレームが例外を記載していない場合、それらは適格な対象として認められます。クレームが司法上の例外を記載している場合、分析はステップ2Aの第2段階に進み、クレームが例外を実際の適用に統合する追加的な要素を記載しているかどうかが評価されます。もし、特許請求の範囲が、例外を実際の適用に統合する追加的な要素を記載している場合、それらは適格な主題として適格です。そうでない場合、分析はステップ2Bに進み、クレームが裁判上の例外を大幅に超える追加要素を記載しているか否かを判断します。
ステップ2Aのプロング2とステップ2Bの間には大きな重複がありますが、PTOは、ステップ2Aのプロング2では、ステップ2Bの場合とは異なり、追加要素はよく理解された、日常的で従来の活動である可能性があると指摘しています。例えば、従来のステップが、疾患や病状に対する特定の治療や予防に影響を与えるために使用された場合、または、従来の材料が従来とは異なる用途で使用された場合、クレームは主題適格性を有することになります。
またプレゼンにおいて、PTOは、一連の精神的プロセス、単なるデータ収集、または単に司法上の例外を適用するステップとしての方法クレームに警告を発したので、そのようなクレームは避けたほうがいいでしょう。
特許適格性の問題を解決するバイオ系のクレームの書き換えポイント
最後にPTOは、主題不適格なクレームを主題適格なクレームに書き換えるためのポイントを説明しました。これらの手法には、自然に存在する組成物が有していない特性を記載すること、クレームされた組成物が自然に存在する組成物には見られない特性を有していることを示すこと、従来の材料や従来の方法を従来とは異なる用途で用いること、特定の処理を指定することなどが含まれます。
参考文献:PTO Presentation Seeks to Clarify Subject Matter Eligibility Requirements