インターネット機能の向上といった抽象的なアイデアの具体的な実装は、特許化可能な概念となる可能性があります。特に、同じ明細書であってもクレームされる発明内容によって特許適格性の判断が変わることがあるため、インターネット関連の特許出願は特にクレームの書き方や既存の問題の定義、具体的な実装とその効果や成果などについては細心の注意を払う必要があります。
同じ明細書でもクレームされた発明内容によって特許適格性の判断が変わる
Googleは、Sholem Weisnerが提起した特許侵害の申し立てを、特許不適格な主題を主張しているとして却下するよう求めました。主張された4件の特許は、いずれも明細書を共有していました。2件の特許は、検索を最適化するためにモバイル端末ユーザーの位置情報を記録する方法(「トラベルログ特許」)、他の2件の特許は、検索結果を改善するために移動履歴を使用する方法(「検索最適化特許」)を主張していました。連邦地裁は、Aliceの2つのテストに基づきトラベルログ特許のみを分析したが、トラベルログ特許と検索最適化特許の両方を特許不適格として棄却しました。
控訴審において、CAFCは、トラベルログ特許に関する連邦地裁の認定を支持しました。しかし、CAFCは、検索最適化特許に関しては、連邦地裁が下した特許不適格の判断を覆しました。CAFCは、検索最適化特許のクレームは、抽象的なアイデアに対するものであると判断しました。しかし、インターネットに特有の問題を解決するために、この抽象的なアイデアを具体的に実施することで、クレームは適格な主題をクレームするものに変化したと結論づけました。具体的には、従来の検索順序付け方法が、検索結果の順序付けに仮想訪問データを用いることを既定としていたのに対し、「参照者」からの物理的な旅行履歴データを用いて検索結果に優先順位を付けることを実装したことにより、検索が非人間的な検索結果を提供するというインターネット特有の問題が解決されたという見解をしめしました。連邦巡回控訴裁は、検索最適化のクレームを、同様に特許取得済みの方法論で従来のインターネット配列を上書きしてインターネット特有の問題を解決したDDR Holdings, LLC v. Hotels.com, L.P., 773 F.3d 1245 (Fed. Cir. 2014) に沿った判例になります。
反対意見:抽象的なアイデアのままなのか、具体的な実施が示されたクレームなのか?
Hughes判事は反対意見を述べ、クレームは検索エンジン最適化のためのルーチンかつ従来のアルゴリズムを記載しているため、検索結果を改善するために位置情報を使用するという抽象的アイデアのみが残されていると主張しました。
また、Hughes判事は、検索エンジン最適化の問題はインターネットに限ったことではないとし、過去に人々は、友人に以前行ったことのあるレストランを尋ねるなど、参照人物の物理的な旅行データを推薦のために使用したことがあるからだと述べました。
参考記事:Avoiding § 101 Eligibility Issues in Internet-Centric Method Claims