特許審査履歴解説: 補正で完璧な差別化ができ1回のOAで権利化できた案件 (Seiko Epson)

今回はSeiko Epsonの特許審査履歴を解説しました。

2023年2月7日に発行されたSeiko Epsonの特許(Pat. No: 11,567,511)の出願履歴から考察しました。

1回目のOAでは独立クレームが異なる文献で102条の拒絶が2回、そして103条による拒絶が2回と、計4回拒絶されていたのですが、大幅な補正を独立クレームに加えることによって、先行技術との差別化に成功しました。

どの点に注目して差別化を測るか、どこまでクレームを補正するか、は権利化の手続きにおいて非常に重要な点であり、特許弁護士としての技量が試されるものでもあります。今回は、従属クレームでも注目していなかった点を大胆にクレーム1の補正に加えたことによって、クレーム1の内容を引用された文献とは異なるようにうまく限定し、権利化につなげていました。

今回の案件を担当したのは日本人の代理人でした。大学までは日本にいたようで、アメリカではLLMを取得し、弁護士になっています。そして、USPTのライセンスを取るためか、技術系のコースを大学で受講していました。

詳しくは、この解説を見てください

過去の特許審査履歴解説一覧はここからアクセスできます。データベースになってるので、拒絶理由や審査経緯などでフィルターでき、自分が知りたい特許審査が簡単に探せます。

ニュースレター、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

arrows-go-up
再審査
野口 剛史

Federal Circuit PTAB Appeal統計(2019年1月15日現在)

2019年1月15日現在、CAFCはPTABによるIPRやCBM手続きの上訴466 件を扱ってきました。CAFCがPTABの判決を支持した案件は348 件で全体の74.68%にあたります。棄却、無効になった案件は60 件で全体の12.88%。 その間の結果は、43件で全体の9.23%でした。

Read More »
money
訴訟
野口 剛史

知財紛争における訴訟ファイナンスの影響

知財に関する訴訟をおこす企業にとって、訴訟ファイナンスは新しい可能性を提案します。アメリカにおける知財の争いは、多額の賠償金につながることもありますが、その一方で、訴訟費用は高く、解決までに何年もかかり、結果が不確実な場合もあります。

Read More »
estopel
Uncategorized
野口 剛史

PTAB手続きによるcollateral estoppelのリスク

PTABの手続きにおいて、過去に同じ問題が争われている場合、collateral estoppelが適用されるか注意する必要があります。今回はCollateral estoppelが適用された判例を通して、どのような時にcollateral estoppelが適用されるか考察してみます。

Read More »