特許審査履歴解説: RCEまで平行線をたどるもののすべてのクレームをキャンセルし新規提案をすることで権利化できた案件 (Samsung)

今回はSamsungの特許審査履歴を解説しました。

2023年1月17日に発行されたSamsungの特許の出願履歴から考察しました。

今回は補正し続けたクレームをキャンセルし、RCEまで主張していた特徴をすべて白紙に戻し、それまでは注目していなかった部分をクレームに用いたことで特許を得た案件です。

序盤はメインのリファレンスでなく、組み合わせに用いられたリファレンスに注目し、複数の差別化要素を積み重ねることで進歩性を見出そうとしましたが、うまくいきませんでした。そこでREC後のOAですべてのクレームをキャンセルし、まったく新しいものを提案することで、差別化に成功し、特許として成立しました。

理想を言えば、マイナーな補正が目立った案件だったので、RCE前後でインタビューをして審査官の心象を探り、引用された文献に関する見解を議論することで、もう少し早く権利化できたのではないかと思っています。

詳しくは、この解説を見てください

過去の特許審査履歴解説一覧はここからアクセスできます。データベースになってるので、拒絶理由や審査経緯などでフィルターでき、自分が知りたい特許審査が簡単に探せます。

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結論から言うと、明細書とは程遠いものがアウトプットされて使い物になりませんでした。しかし、部分的には評価できるところもあり、工夫次第ではちょっとした付加価値をつけることはできるかもしれません。また機能面での問題とは別に、実務で用いるとなると、出願前の特許クレームという機密情報の取り扱いという点でも課題はあります。

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