特許審査履歴解説: 初回から許可可能クレームがあったもののRCEまでした案件(Microsoft)

今回はMicrosoftの特許審査履歴を解説しました。

2023年3月7日に発行されたMicrosoftの特許(Patent # 11599729)です。最近トレンドのチャットボットに関する特許です。

今回は1回目のOAから許可可能クレームが示されていて、「簡単な」ケースにもなったはずなのですが、より広い権利範囲を求めクレーム1の102条・103条の拒絶に応答していった結果、RCEまでもつれ込むことになりました。そこで出願人の方が折れ、1回目のOAから許可可能とされていたクレーム要素を独立クレームに加えて権利化しました。

メインリファレンスは一貫して変わらなかったので、合計3回あったOA対応の早いタイミングで、インタビューをしてメインリファレンスとの差別化が可能かを口頭で確認する機会があったほうがよかったかもしれません。

また、今回は112(f) means-plus-functionの解釈が用いられるクレームもありましたが、そこに関しては反論がまったくありませんでした。

詳しくは、この解説を見てください

過去の特許審査履歴解説一覧はここからアクセスできます。データベースになってるので、拒絶理由や審査経緯などでフィルターでき、自分が知りたい特許審査が簡単に探せます。

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