ジェネリック医薬品メーカー限定かもしれませんが、条件が揃えば控除可能と税務裁判所が判断しました。特許訴訟費用が控除の対象になるのであれば、費用が発生した年に計上できるので、企業としては嬉しいニュースです。
Mylan v. Commissioner, 156 T.C. No. 10 (April 27, 2021)において、特許侵害訴訟費用が控除対象経費として認められました。
問題となった特許訴訟は、FDAが承認した既存の医薬品のジェネリック版を製造するためのFDAの承認を得るために行われる特殊な手続きが発端になっています。この訴訟に関連した経費の内、特許侵害訴訟費用と通知にかかった費用の2つの経費の税法上の取り扱いが控除対象経費(deductible expenses)なのか資産化された経費(capitalized expenses)なのかが問題になりました。
控除対象経費(deductible expenses)であれば、費用が発生した年に計上できるので会社にとっては都合がよいのですが、資産化された経費(capitalized expenses)となってしまうと、15年もかけて減価償却することが求められます。
今回の税金に関する争いで、税務裁判所は、特許訴訟はFDAの安全性や生物学的同等性の審査とは関係がなく、ジェネリック医薬品メーカーが特許訴訟に勝ってもFDAの承認を得られない可能性があるとして、特許侵害訴訟費用を控除対象経費として認めました。
しかし、通知にかかった費用に関しては、税務裁判所は資産化された経費と判断。その理由は、通知はFDAの承認を得るための前提条件であり、したがって、無形資産の創造の一部でああるためということでした。
今回の税務裁判所の判決は、ジェネリック医薬品メーカーにとっては朗報です。今回と似たような経緯で行われた特許訴訟の経費は、この判例に従って控除対象経費として計上できることでしょう。
また、税金は数年さかのぼって修正できるので、もし過去に今回と似たようなケースがあり、訴訟費用を資産化された経費として減価償却しているのであれば、過去の納税申告を修正して、税金の一部を返金してもらえるか検討するべきでしょう。
まだ今回負けた税務署が上訴する可能性もありますが、条件に該当するのであれば、一度税理士に相談することをおすすめします。