数値限定を含む特許クレームは権利行使に向いているが審査が厳しい

特許クレームを明確な数値で限定することによって、将来的な物質に関する保護を受けると同時に先行文献による無効化が難しくなります。しかし、逆に審査の段階では、引用文献に明確な数値の開示がなくてもクレーム範囲が先天的に開示されていると判断される可能性が大きくなります。

数値限定を含む特許クレームは権利行使で有利な面も

材料や化学組成物を対象とした特許では、パラメータクレーム(parameter claims)やプロパティクレーム(property claims)と呼ばれる、特定の物質や原材料の数値限定を含んだクレームが有効な場合があります。

クレームに厳密な化学組成や構造の制限については言及しないで、一部原材料の全体に対する割合や、圧力、温度、濃度などをある一定の範囲で数値限定した場合、出願時には想定していなかった材料や化学組成物がクレームに含まれる可能性があります。

また、クレームされたパラメータやプロパティが先行技術に明示的に開示されていない場合、すでに権利化さえた特許であれば、第三者がクレームの有効性を分析することが困難になる場合があります。

つまり、数値限定を含む特許クレームは、クレームの権利範囲の面でも、有効性の面においても、第三者に権利行使を行う場合に有利な側面があります。

審査では引用文献との差別化が大きな課題に

しかし、この数値限定を含む特許クレームの特徴は、特許審査においては大きな障害になります。

例えば、審査官は、引用文献にクレームされている数値限定が明確に記載されていなくても、クレームされた特性が先行技術の組成物に先天的に備わっている(inherent)とみなすことができます。

更に、審査官は特性を最適化することによってクレームされた物質は自明(ovbvious)であるという見解を示すこともできます。

このような場合、出願人は引用文献で開示された内容が特許請求の範囲に記載された特性を有していないことを示す責任を負います。このタイプの反論はとてもむずかしいく、引用文献とクレームされた発明内容によっては、上記の先天的な開示と最適化による自明の主張を覆すのは至難の業です。

今回PTABで争われたEx parte Yimでも、引用文献の開示内容とクレームされている樹脂が非常に近かったため、審査官の主張が受け入れられました。

このような拒絶を解消するには、出願人は、先行技術で開示されている例を再現し、日常的な最適化の主張を反証する証拠を提供する準備をする必要があります。

参考文献:”Parameter/Property Claims Can Be Valuable In Patents But Challenging During Examination” by Jacob A. Doughty. Element IP

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