Non-DOCX追加料金延期で今からでも間に合うベストプラクティス

米国特許商標庁(USPTO)は、2023年4月3日から、DOCX形式以外で出願されたすべての出願に追加料金を適用することを決定しました。USPTOは当初、追加料金の発効日を2023年1月1日と発表していましたが、実施予定日のわずか数日前に実施を3ヶ月間延期しています。延長されたものの、現在DOCXを使用していない実務家は、DOCX出願プロセスへの対応を進め実施日に備える必要があります。以下は、新しいDOCX出願要件に対応するための推奨ベストプラクティスです。

オプションの補助的なPDFも提出する

DOCX出願の利用を促進するために、USPTOはDOCX出願と同時に “補助PDF” (“auxiliary PDF”) の提出を認める暫定的なプログラムを制定しました。補助PDFは特許付与後3年間保管され、新しいDOCX出願プロセスで発生しうるエラー(実質的またはフォーマット上のエラー)に対する重要な予防策となります。

当初の計画では、このオプションは2022年12月31日に期限切れとなる予定でした。しかし、このオプションはさらに6ヶ月間(2023年6月30日まで)利用できることになりました。DOCX変換処理におけるエラーは、EBC(877-217-9197)に電話するか、37 CFR 1.182に基づく請願書を提出することにより、補助PDFを参照しながら修正することができます。USPTOは、補助PDFに基づくエラーを修正するために1.182の請願書を提出した場合、手数料を免除します。DOCXで出願する場合は、補助PDFを添付することで、無料でセーフティネットを得ることができます。

DOCX出願をパテントセンターで行う

USPTOは、EFS-WebでのDOCX出願を許可していますが、EFS-Webでの補助PDFの提出は許可していません。そのため、より便利で新しいPatent Centerを使った出願をするべきでしょう。

出願前に、パテントセンターでDOCX形式の出願の「プレビュー」バージョンを確認する

Patent Centerで出願する際、「Preview」ボタンをクリックし、ポップアップウィンドウ内で出願書類をスクロールすることができます。これにより、レンダリングエラーを実際に確認することができます。フォントが埋め込まれていないPDFがデバイスによってレンダリングが異なるように、お使いのデバイスでWordで開いたDOCXは、他のデバイス(つまり、ファイルラッパーPDFを作成するUSPTOシステム)で開いた同じDOCXファイルとは異なるレンダリングを行う可能性があります。

「Preview」ポップアップ・ウィンドウに表示されるレンダリングは、DOCXファイルのUSPTOレンダリングを反映しているため、「Preview」ポップアップ・ウィンドウ内で確認することが必要です。また、このレンダリングチェックの目的のためにファイルをダウンロードしてローカルで確認する必要がある場合は、USPTOが作成したPDFドキュメントをダウンロードして確認する必要があります。

特にレンダリングエラーが起こりやすく、注意してみないといけない箇所は、(I) すべての表、式、化学式、(II) USPTO が作成した「フィードバック文書」(“feedback document” )で警告コメントが記載された箇所です。

出願前に出願書類を見直すことができない場合、補助的なPDF文書がセーフティネットとなりますが、これは実際に矛盾点を探し、発見した場合に限られます。したがって、出願時に徹底的なレビューをしていない場合、出願後にUSPTOが作成したPDFと補助PDFを比較し不一致がないように確認する作業が必要になります。

DOCX出願のメタデータは出願前に削除する

USPTOのDOCX変換プロセスでは、エラーやフォーマットの変更が発生することがあります。このような問題はUSPTOが提出されたDOCXファイルからメタデータを削除することで、発生することがあるそうです。そのため、USPTOに出願する前に事前準備としてDOCXのメタデータをスクラビングツール等を利用し削除することが有効です。

また、スクラビングプロセスで必要な情報が失われる場合に備えて、DOCXのメタデータスクラブを実行する前に補助的なPDFを作成するといいでしょう。その後、PDFからメタデータを削除してください。

参考までに、DOCXファイルに関する推奨プロセスを以下に示します:

  1. 提出するDOCXアプリケーションのフォント埋め込みPDFバージョンを作成する
  2. PDFを作成した後、DOCX出願からメタデータを削除する
  3. メタデータが削除されたDOCXをパテントセンターにアップロードする
  4. PDFからメタデータを削除する
  5. メタデータが削除されたPDFを補助PDFとしてアップロードする
  6. 出願の「プレビュー」版を確認し、矛盾がないことを確認する
  7. 出願を行う

参考文献:Update: USPTO Non-DOCX Surcharge Now Set to Roll-Out on April 3, 2023

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