新技術の権利化は開示内容が鍵:CAFCはサブマリン特許を懸念か?

現在確立されている物理学の法則に違反した「新興技術」に関する特許が出願された場合、米国特許庁が実験的検証を伴う結果の再現性など、通常より高い基準の開示内容を要求するのは正しいとしました。裁判所は、まだ解明されていない技術に対して慎重な立場を取りサブマリン特許を抑制したい考えなのでしょうか?

連邦巡回控訴裁判所(CAFC)はIn Re Hu 19-2104において、Quantum entanglement(量子もつれ)に関する特許出願を取り扱いました。Quantum entanglementは、量子物理学が古典物理学と相容れない最大の特徴であると考えられています。そのため、審査官が出願を拒絶した際、通常のような先行技術、相反する知識や証拠による非特許性の確立が十分できていなかったため、非特許性の一応の根拠(prima facie case)となる合理的かつ客観的な理由が与えられていたかどうかが問題になりました。

しかし、CAFCは、Quantum entanglementのようにまだ確立されていない技術に関しては、実験的検証を伴う結果の再現性など、通常より高い基準の開示内容が求められ、そのような開示がない場合、審査官が信頼できる説明や検証可能なテストデータがない状況で特許性に関して異議を唱えるのは適切だという判断を下しました。

個人的な見解を話すと、Quantum entanglementのようなまだメカニズムが完全に理解できていない技術に関して検証可能なデータがない特許を権利化させてしまうとサブマリン特許化してしまい、出願時には意図していないような実例にも適用され、社会に悪影響を及ぼすことを懸念したのだと思います。

参考記事:Incredible Claims Held to Lack Credibility

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