The Council for Innovation Promotion(イノベーション推進協議会)は、知的財産権を推進するための超党派の連合体として9月22日に発足しました。知財の著名人で構成され、政治的なロビー活動も含めた幅広い知財の啓蒙活動を行っていきます。
歴代の元特許庁長官やCAFCの元判事がメンバーに
まずは、この組織のコアメンバーである名だたる知的財産のリーダーたちの紹介です。
- Frank Cullen, former V.P of U.S. Policy, Chamber of Commerce Global Innovation Policy Center;
- Andrei Iancu, former Under Secretary of Commerce for Intellectual Property, and Director of the U.S. Patent and Trademark Office (2018-2021);
- David Kappos, former Under Secretary of Commerce for Intellectual Property, and Director of the U.S. Patent and Trademark Office (2009-2013);
- Judge Paul Michel, former judge on the U.S. Court of Appeals for the Federal Circuit (1998-2010); and
- Judge Kathleen O’Malley, former judge on the U.S. Court of Appeals for the Federal Circuit (2020-2022).
この組織は、米国憲法が建国者の理解を通じて、知的財産権をアメリカになくてはならないものであることを前提に活動を行い、知的財産権がイノベーションを促進し、経済競争力を高め、あらゆる人々の生活を向上させることを人々に伝えます。様々な啓蒙活動、イニシアチブ、キャンペーンを通じて、国内および国際的な知的財産権の重要性を高めることを目的とし、利害関係が一致する他のグループと連携を取り、政治的および非政治的なグループに対して提言を行うことを主な活動としています。
知財を軽視する世の中の動きを問題視している
このような組織が生まれた背景には、近年の米国におけるイノベーションを損なう国内外の脅威が高まっていることにあり、コアメンバーは、議員や活動家が、200年以上にわたってうまく機能してきた知財における保護システムを解体しようとしていることを恐れています。その一例が、コロナ診断薬や治療薬の知的財産権を放棄するという複数の国からの提案です。米国内では、医薬品特許の無効化や、発明者や特許権者への補償なしに特許を押収することを政権に求める声もあります。このような取り組みが成功すれば、救命医療の研究開発が阻害され、様々な疾病に苦しむ患者さんに不利益をもたらす可能性があります。イノベーションを行うインセンティブを弱めることは、世界経済やさまざまな産業で働く何百万人もの労働者に深刻な結果をもたらすと懸念しているのです。
そのため、The Council for Innovation Promotionは、世界的なイノベーションのリーダーシップを維持するための知的財産権の重要性について、政策立案者と一般市民を啓蒙することを目的としています。米国の全労働者の3分の1、米国の経済生産高の50%近くが知的財産集約型産業に直接関係しています。また、医薬品から自動車、スマートフォン、ノートパソコンに至るまで、現代社会は知的財産権なしには成り立たないものです。トーマス・エジソン、ライト兄弟、シリコンバレー、世界の食糧を確保する方法を開発する生物農業研究者など、知的財産権がクリエイターのインセンティブとなり、保護につながっていることで世界が機能しているという理解から、このアジェンダに沿った活動を行っていくようです。
イノベーション自体はもちろん、アメリカにおける成功にはそのイノベーションが大きく関わっていることを広く伝えることを、 Council for Innovation Promotionは計画しており、それと同時に、強力な知的財産権がなぜ必要なのか、そしてイノベーションの背後にある重要な要素であることを説明することを望んでいます。また、発明家や企業がその努力に報いられ、賞賛されるような「世界で最も革新的な国としての米国の優位性」を支援し、促進したいと考えているとのことです。。
新組織の詳細については、ウェブサイトをご覧ください。